硬い筋肉ほぐれ「感覚が全く違う」 爆発ブームの“運動法”…野球にもたらす絶大効果

青森大の選手を指導する玉城奈緒子さん【写真:川浪康太郎】
青森大の選手を指導する玉城奈緒子さん【写真:川浪康太郎】

セルフケアコーチ・玉城奈緒子さんに聞く「ピラティス」の効果

 野球とピラティスには高い親和性がある。近年、プロ野球選手が自主トレなどで導入する事例は増えてきたが、アマチュア野球界にはまだまだ浸透していないのが現状だ。そんな中、青森大硬式野球部は今春、沖縄キャンプでピラティスを導入した。講師の玉城奈緒子さんは「ピラティスは近年では一種の『ブーム』という側面が強いですが、スポーツの現場では絶対に取り入れた方が良いと思っています」と断言する。

 ピラティスは1920年代に従軍看護師のジョセフ・H・ピラティス氏によって開発された運動法で、もともとは負傷した兵士のリハビリを目的に考案された。現代においてはK-POPアイドルが多く取り入れていることもあり、特に女性の間で爆発的なブームになっている。「女性がするもの」という印象が強まる中、サッカーやバスケットボールの現場では早い段階から導入が進んだという。

 元々はヨガ講師として活動していた玉城さんは、「本当にこれで合っているのか?」という生徒の声を耳にしたり、身体のためにヨガを始めたにもかかわらず逆に痛めてしまった生徒を見たりする中で、「自分の身体のために自分で整えられる人を増やしたい」という想いから独立した。ピラティス・解剖学・コンディショニングの知識を取得し、”セルフケアコーチ”として、スポーツ選手やマタニティケアなどの専門的な分野にも携わるようになった。

 野球の現場は今回が初めて。実際に選手に「筋肉を柔らかく、しなやかにする」トレーニングを教える中で、「野球は大きな筋肉が張りやすいので、それをほぐすことによって体幹が安定しやすくなる。体幹が安定したことで多くの選手が打ちやすく、投げやすくなったと感じているようです」と手応えを得た。

 ピラティスを実践した青森大の川満真外野手(4年)も「ピラティスをした後に練習をしたら感覚が全く違った。上半身と下半身の動きがバラバラになってしまう癖があったのですが、自分が思っている動きと実際の動きのギャップが少なくなったと実感しています」とその即効性に驚いていた。

筋肉をほぐすことで「体幹が安定しやすくなる」と玉城さん【写真:川浪康太郎】
筋肉をほぐすことで「体幹が安定しやすくなる」と玉城さん【写真:川浪康太郎】

怪我のリスク軽減へ「筋肉を柔らかく、しなやかにする」

「筋肉を柔らかく、しなやかにする」トレーニングは怪我予防にもつながる。野球は体の同じ箇所を酷使しがちなため、筋肉が硬くなりやすい。筋肉が硬いと怪我のリスクが高まるという。

「野球は打つ時や守る時などに『止まっていたところからいきなり走り出す』動作がある。筋肉が硬い状態で急な初動負荷がかかると、肉離れが起きやすい。逆に筋肉がしなやかであれば怪我をしにくいんです」と玉城さん。選手たちには「硬い筋肉は冷凍したお肉のような状態。冷凍したお肉に包丁を入れても切れないけど、一度解凍したら切れる」と例えを用いて分かりやすく伝えた。

 ピラティスは幼少期の子どもにも効果的だが、玉城さんは「ある程度自分の体に興味を持って、体の使い方を理解してから取り組んだ方が効果は出やすい」と注意を促す。逆に言えば、大人になってからでも修正は可能だ。

「プロ野球選手がSNSでピラティスの様子を発信するようになって、若い世代が興味を持ち始めている。入りは何でも良いので、実際にピラティスを体験して体が変わると感じてもらえれば嬉しいです」。固定観念を捨て、新しいことを取り入れた時、技術向上や怪我予防の兆しが見えるかもしれない。

(川浪康太郎 / Kotaro Kawanami)

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