低反発バットでも「得点力は上がる」 小中高の強豪が実践…“振れる選手”の育成例

上のカテゴリーでも通用する「振れる力」の養い方とは(写真はイメージ)
上のカテゴリーでも通用する「振れる力」の養い方とは(写真はイメージ)

新基準を打破し、未来の成長を見据えた強打の育成術

 高反発の複合バットの制限や低反発バットの導入によって、育成年代のバッティングはどう変わっていくのか。スモールベースボールへの回帰は正解ではない。小技に頼りすぎず、体の軸でしっかりとスイングできる選手を育てることが、結果的に得点力を高める近道だ。上のカテゴリーでも通用する「振れる力」をどう養っているか、高・中・小それぞれの打撃指導例を紹介する。

・低反発バットで飛距離が出ない場合、どのような意識でスイングをすればよいか。
・投手のレベルが上がる中で、ミート率と長打力を両立させる具体的な方法は何か。
・体が小さい選手でも、効率よく打球を遠くへ飛ばすための秘訣はどこにあるか。

 高校野球の強豪、日本航空石川の中村隆監督は、低反発バットが導入された当初、細かい野球を試みた時期もあったという。しかし、選手の将来を考えた際、小さくまとまったスタイルでは上のレベルで通用しなくなることを懸念。「小柄でもしっかりバットを振れる選手の方が魅力」と、大学以降も考え、体の軸で“強く振れる”選手の育成に再び舵を切った。昨秋の石川大会や北信越大会では計8試合で57得点。冬場は自重トレーニングを徹底するなど、目先の勝利だけでなく、個々の限界値を高める工夫がチーム全体の攻撃力を引き出している。

 昨年全国2冠を達成した中学硬式の強豪、東海中央ボーイズの竹脇賢二監督は、「ファーストストライクからフルスイング」を意識させている。まだパワーが足りない中学生年代を考慮し、バットを指2、3本分短く持つことで操作性とスイング速度を上げ、ミート率を高める工夫をしている。また、軸足のつま先を外に向けない「パワーポジション(力を発揮できる姿勢)」の維持や、深いトップを作ることで、地面からの力を効率よく打球に伝えている。短い時間で攻撃が終わっても、初球から攻める積極性を貫き、昨夏のボーイズ全国大会では1試合平均7.2点を挙げた。

 昨夏の学童全国大会に出場した山梨県の甲斐JBC(ジュニアベースボールクラブ)は、バットのヘッドの重さを生かしたスイングを重視。小学生にも伝わりやすいよう、先端に結び目を作ったタオルを回す練習を取り入れ、遠心力で加速する感覚を体感させる。この「しなり」を覚えることで、体が小さな選手でも自然と飛距離を伸ばすことが可能になるといい、全国大会でも強豪を相手に猛打を見せるなど成果を残した。小学生のうちからフルスイングを習慣にすることが大切だと考えており、それが中学や高校での飛躍につながるという見方を示している。

 強豪チームの指導に共通するのは、新基準のバットという制約を、技術を高める好機と捉える前向きな姿勢だ。将来を見据えて「振れる選手」を目指すことが、結果として今の得点力アップにつながる。

・低反発バットへの対応には、当てにいくのではなく、体の軸を意識して力強く振る「原点回帰」の練習が大切になってくる。
・ミート率を高めるには、バットを短く持って操作性を上げるとともに、初球からしっかり振り切る積極的な気持ちが大切。
・飛距離を伸ばすには、タオルの結び目を使った練習でヘッドが走る感覚を掴み、遠心力を活用したスイングを身につける工夫もある。

(First-Pitch編集部)

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