プロ輩出の中学強豪が低迷経て“復活” 3年で部員倍増…信頼掴んだ「アップデート」

西武・栗山巧、元オリックス・坂口智隆氏らを輩出した「ヤング神戸ドラゴンズ」
日本一を目指した“活気あるチーム”を復活させたい。野球人生を切り開いてくれたチームへの恩返しのため精鋭OBが一肌脱ぎ、名門復活を目指している。名球会入りを果たしている西武・栗山巧外野手、通算1526安打の坂口智隆氏(元近鉄、オリックス、ヤクルト)ら数々のプロ野球選手を輩出してきた中学硬式野球チーム「ヤング神戸ドラゴンズ」。一時は部員数が激減したが、現在は60人を超える“大所帯”に変貌した。
栗山、坂口氏らプロ野球選手を輩出してきた名門チームも、3年前までは30人弱しか部員が集まらず、厳しい運営が続いていた。代表を務める細木宏員さんは「以前は1学年10人集まるかどうか。厳しい時期もありましたが、危機感を抱いたOBたちが動いてくれて一気に雰囲気が変わりました」と、流れが変わったきっかけを明かす。
その“立役者”の1人が、OBで2025年からコーチを務める長滝雄太郎さん。1学年上に栗山、同級生に坂口氏がおり、3人で中軸を務めて黄金期を築いた。報徳学園では不動の4番として2002年の選抜大会で優勝に貢献し、その後は社会人野球の名門・大阪ガスでプレー。高卒2年目にレギュラーを獲得し、プロのスカウトからも注目されていたが、病を患い4年で現役引退を余儀なくされた。
引退してからは「野球に全く興味がなかった」と、社業に勤しむ生活を送っていたが、家庭を持ち息子が野球を始めると野球への思いが再燃した。

高校時代に日本一を経験したコーチ陣「野球に正解はない」
「学童野球の指導を始めた時に、ふと自分が育ったチームがどうなっているのか。当時は栗山さんや坂口がいてレベルの高いチームでしたが、なかなか名前を聞くことがなかった。実際に見に行くと人数も少なかったですし、これじゃダメだと。もっと盛り上げて、活気のあるチームを取り戻したい。監督や代表に『指導者をやらせてほしい』と伝えました」
現状を打破するために着手したのが、指導者のアップデートだった。「昔のように“あれやれ、これやれ”だけじゃ子どもたちは動かない。指導者が理論や知識を持っていないと信頼してくれない。今は子どもたちの方が情報を手に入れるのが早いですから」。さらに、OBだけでなく高校時代の同級生の石井孝一さんにも声をかけ、コーチとして招聘した。
学童野球で監督経験もあった石井さんは「OBでもないので戸惑いましたが、なんとか力になれたらと思い、引き受けさせてもらった」と、同級生の熱意に押され承諾。「野球に正解はない」と、押し付けるのではなく様々な知識を持った指導者の教えを通じて引き出しを増やすことが、子どもたちの将来に繋がると信じている。
正解がないからこそ、長滝さんも「失敗した経験は強い」と語り、過去の低迷も教訓にして指導している。「自分たちの経験を伝えて、上のカテゴリーで活躍できる選手を送り出したい」。熱い思いを持ったOBや指導者が集結し、ヤング神戸ドラゴンズはかつての輝きを取り戻そうとしている。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)
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