素振りは「100本、200本の時代じゃない」 井口資仁氏が説く“正しいスイング”習得術

日米球界で活躍した井口資仁氏【写真:増田美咲】
日米球界で活躍した井口資仁氏【写真:増田美咲】

井口資仁氏が語る「自分のベストなスイング」

 NPBやMLBで活躍した井口資仁氏が、子どもたちに向けた練習法について語った。日米通算2254安打を放った名選手が伝えたのは、限られた環境でもバッティングの質を高められる工夫について。自身の経験を踏まえて持論を展開した。

 井口氏は練習環境を確保できる子どもばかりではない現実に目を向け、その上で伝えたのは素振りの価値の見直しだ。「自分の中でしっかりイメージして素振りすることが、まずは大切なこと」。基本に立ち返ることの意義を強調した。

「しっかり振れる素振りというのが、自分のベストなスイングなので」

 重視するのは、再現性だ。素振りで磨いた最良のフォームを実際の打席でそのまま発揮できるかどうか――。練習と本番をつなぐことこそが、結果を残すための鍵になると説いた。

「昔みたいに、ただ単に本数。100本とか200本という時代じゃない。50本でもいいので、しっかりと対ピッチャーというのを自分の頭の中でバーチャルでやれれば、すごいいい練習になるのかな」と井口氏。配球を考え、コースを想定し、スイングする。数字に縛られないからこそ、“1本”に込める集中力が研ぎ澄まされていく。

 さらに勧めるのが、シチュエーションを具体的に思い描くこと。打席に向かう瞬間の高揚感、サヨナラの場面で回ってくる打順、応援してくれる仲間や親の視線。細かく設定することで本番の緊張感にも近づける。「イメージすることって大事だと思うので」。井口氏は繰り返した。日々の練習が試合とつながる感覚を育む方法である。

“氾濫”する情報…SNSとの向き合い方

 情報があふれる現代ならではの取り組み方にも理解を示す。YouTubeやSNSには多彩な練習法が並び、子どもたちは自由に選び取ることができる。指導者の言葉に耳を傾けつつも、自分に合うものを試してみる柔軟さがあっていい。「打ち方とか決まった方法なんてない」と語る。井口氏自身、答えを見つけたのは高校時代だったという。

 井口氏が伝えたいのは、自分にとっての正解は自分で探すしかないということだ。誰かの真似から始まっても、最後は自分の体と感覚で確かめるしかない。今は試行錯誤の材料が豊富にそろう恵まれた時代でもある。素振り1本に込める想像力が、未来の打者を育てていく。グラウンドに立つすべての子どもたちへエールを送った。

(First-Pitch編集部)

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