球速や打球スピードだけでは「ただの自己満足」 中学強豪が“眼の専門家”を招聘したワケ

中学硬式の強豪・関メディベースボール学院【写真:チーム提供】
中学硬式の強豪・関メディベースボール学院【写真:チーム提供】

「関メディ」がスポーツビジョントレーナーの野口信吾さんを招聘

 投げる、打つ、守るなど、野球において「眼」の力は重要な要素の一つだ。視覚で得た情報を脳で理解し、プレーに繋げることが技術に繋がっていく。中学硬式野球の強豪「関メディベースボール学院」は、スポーツビジョントレーナーの野口信吾さんを今月、招聘した。“眼のスペシャリスト”を招いた理由を、井戸伸年総監督は「数値だけでは技術に繋がらない部分もたくさんある」と説明する。

 野口さんは野球における正しい眼の使い方をコーチングする「GOOD EYEスポーツビジョンセンター」代表で、これまでプロ野球選手からアマチュア選手まで500人以上を指導してきた“眼のスペシャリスト”だ。井戸総監督は「眼から得た情報を、体の動きや技術に繋げないといけない」と考え、招聘した。

 野球において、空振りが多い、フライが捕れないといった悩みを抱える選手は少なくない。昔に比べ、外遊びや体を使った運動は減少しており、スマートフォンやタブレットの普及により「空間認識能力」は低くなっているという。

 筋力トレーニングや打撃、投球、守備の技術は日々進化し、数値も目に見えて分かるため幼少期から取り入れる傾向がある。実際に球速、打球速度に特化した大会も存在している。ただ、野球では数値がそのまま結果に繋がらない場合もあるため注意が必要だ。

関メディ・井戸伸年総監督(左)と野口信吾氏【写真:チーム提供】
関メディ・井戸伸年総監督(左)と野口信吾氏【写真:チーム提供】

井戸総監督「当て感などは数で補えない部分もある」

 近年、野球界では打球速度やスイングスピードの数値が注目されがちだが、井戸総監督は「バットに当てるコンタクト率を高めなければ、ただの自己満足で終わる」と危機感を抱いている。試合で結果を残すには、眼から入ってきた情報を脳で正しく理解するメカニズムが不可欠となる。

 練習の量や数をこなすことは重要だとしているが、打撃における「当て感などは、数で補えない部分もある」という。そこで視覚の専門家から眼の使い方を学び、根本的な部分を改善した上で反復練習を行う。打席への入り方や重心の位置など、身体の動きと眼の使い方を直結させるアプローチが求められる。

 野口さんが初めてチームに合流した時は、選手だけでなく保護者も含めた講義が行われた。ビジョントレーニングを行う前に、必要な知識を理解してもらうためだった。「グラウンドにいる時間よりも、家族でいる時間の方が長い。家での過ごし方、トレーニング方法など大人も理解すれば子どもの成長に繋がります」と井戸総監督は口にする。

 視覚へのアプローチは「若いからこそ、早くに理解して鍛えていかないといけない」と井戸総監督。大人になってから知識を得るよりも、中学生のうちから体の使い方や目の動きを習得することで、高い再現性を生み出せる。教わったルーティンを日々の練習で実践し続けることが、飛躍へと繋がっていくはずだ。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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