タティスJr.の打撃論は「メッチャ基本的」 少年野球に有効…MLBの“超シンプル思考”

中南米でのプレーを経験…谷口容基さんが伝えるMLB選手の思考
メジャーリーガーの思考が、日本の少年野球にも必要かもしれない。ドミニカ共和国など海外でのプレー経験が豊富な谷口容基さんは現在、関西を拠点にオンライン野球教室「DREAM SCHOOL」などで小中高生から大学、独立リーグの選手まで幅広く指導している。MLBの選手とも交流があり、一流選手の言動を伝えることも指導の一環となっている。
ドミニカ共和国でのアカデミーに所属していた際、宿舎でルームメートだったのが現在エンゼルス傘下でプレーするグスタボ・カンペロ外野手。カンペロがコロンビア代表として出場した今春のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に個人トレーナーとして同行するなど、2人は強い絆で結ばれている。
それ以外にもパドレスのフェルナンド・タティスJr.外野手らMLBトップクラスの選手との交流も多い。「MLBの選手から話を聞いて教えてもらったことを、そのまま伝えることがあります。僕が言っていることじゃなくて、メジャーの選手が言っていることだから、子どもたちも信頼してくれるんです」。多くの日本選手が挑戦しているメジャーリーグの情報は、子どもたちもよく知っている。
「タティスJr.が『こう言っていたよ』と言うと、『おおっ!』『やります!』という反応になります」。メジャーのトッププレーヤーがどんな内容の話をしているかというと、「至ってシンプルなんです」という。「例えば『センター方向に真っすぐライナーを打つ』とか、メッチャ基本的なことです。複雑じゃないから伝えやすい」。
打席で構えた際に「タイミングを早めにとって、トップの形をしっかり作る」など基本的な助言が多いそうだ。「『この部分の骨を使って』とか『胸郭を動かして』という教え方ではない。とにかくシンプルなので、子どもたちに凄く教えやすいです」。MLBは結果を残せないとすぐにマイナー降格となる。「すぐに結果を求められるのがメジャー。複雑にすると結果が出にくくなる」という。
木に例えると、色々なことを試しながら技術を高めていくマイナーリーグの選手は「木の幹に枝をつけていくことができる」という。しかし、メジャーリーグはそれでは生き残れない。「カンペロも『無駄なものを削ぎ落としていく感じ』と言っていました」。イメージとして「無駄な枝葉を切っていく感覚。必要な枝だけ残して太くしていく」そうである。

短所には目をつぶり長所を伸ばす米国流
日米で育成方法は異なる部分がある。日本では太り気味の選手に対して、少しでも痩せさせようとしてシャープな動きを求める指導者が多い。米国は「もっと太ってパワーをつけていけという感じです」。打者で得意なコース、苦手なコースがある場合、日本では苦手なコースを克服しようとする。米国は苦手なコースに手をつけず、得意なコースで安打になる確率をさらに上げようとするという。
短所はある程度、割り切って目をつぶる。その代わり、長所をとことん伸ばすのが米国流で、「そういう発想が多いと感じました。育成の仕方も考え方も違っていて面白いです」と語る。谷口さんは「最終的に打てるコースを広げていく方がいいと思う」と、シンプルな米国流を細かい日本流にミックスさせるのが最善だと感じている。
最近はデータ活用が重視され、投手なら投球の回転数、打者なら打球角度などを意識する選手も増えている。インパクトの瞬間のバットの角度もその1つ。これに対して谷口さんは「角度をどうするとか、肩を倒してバットを下から出すとか、凄く複雑にしている」と憂慮する。
「試合になったらアングルなんてコントロールできません。例えばバットの角度を4度や8度で出そうと思ってもできないでしょう。そこを調整するより、打ちにいった時に結果的に何度になっていたかを見て、後に生かしていくことが大事です。メジャーリーガーの考え方もシンプル。それを伝えると、考えすぎていた子どもが、短期的に伸びるケースも出てきます」
技術向上への研究や勉強、対策は必要だが、考えすぎると思うように動けない場合も出てくる。頭を整理して、シンプルに取り組むことで成功に一歩近づくケースもあるのだ。
(尾辻剛 / Go Otsuji)
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