“肩慣らし”のキャッチボールに待った「どんどん差がつく」 悪送球を招くNG動作

元ヤクルト・宮本慎也さんがミズノ主催「大人の野球レッスン」で守備指導
華麗で堅実な守備の土台には、丁寧な「1球1球」がある。元ヤクルトの宮本慎也さんが、5月30日に東京都内で、大手スポーツメーカー・ミズノが主催する「大人の野球レッスン」に講師として登場し、守備・打撃の極意を伝授した。宮本さんといえばゴールデングラブ賞10度受賞の内野の名手だが、ゴロ捕球・送球以前にキャッチボールを念入りに指導。そこで伝えた、少年野球にも繋がる重要なこととは。
「大人の野球レッスン」は商品を超えた“価値”をユーザーに届けたいというミズノの思いに、現役時代から同社のグラブや野球用品を愛用してきた宮本さんが応えて実現した企画。草野球愛好家、野球ファン、少年野球の指導者まで、抽選で選ばれた延べ35人に守備・打撃をそれぞれ2時間、たっぷりとレクチャーした。
遊撃で6度、三塁で4度GG賞を獲得し、平成を代表する名手として活躍した宮本さん。守備の講義では早速、捕球・送球のアドバイスから入るのかと思いきや、そうではなかった。
まず、「わかっているつもりでも間違っている人が多い」と説明を始めたのはボールの握り方。「安定性を求めて親指を外側にずらす人が多いけれど、それでは送球も真っすぐ行かないし、回転もかかりずらい。親指はボールの真下に来るように握ってください」。日頃“なんとなく”になってしまう基本中の基本からレッスンはスタート。
続いてはキャッチボールで、そこでも投げ方の基本から。伝えたのが、軸足(右投げなら右足)にしっかりと体重を乗せて投げる重要性だ。よく起こるNG動作として宮本さんが挙げたのは、早く投げたいからと、前足をステップした際に頭の位置も前に移動し、上体が突っ込んでしまうこと。そうなると、テークバックからボールを離すまでの距離が短くなり、悪送球につながりやすいという。
「(右投げの場合)右足にしっかりと体重を乗せてから踏み出す。そうすればリリースまでの(腕振りの)“助走距離”ができて、コントロールする時間もできるし、強いボールを投げられます」。投げ終わりに左足1本で2〜3秒立って踏ん張れるかが、頭から突っ込んでいないかの確認になるとアドバイスした。

肘から上げる、ボールを外に向けるは“今はNG”…打撃への効果も
テークバックの作り方については、「皆さんが教わってきたことと、今は違います」と宮本さん。まずは腕の上げ方。「『肘から上げて』と教わった人が多いと思いますけど、肘から上げようとすると肩も一緒に上がって(関節が)詰まり、故障につながりやすい」。ボールを持つ手が肘より上に位置する状態で、上げていけばOKだという。
もう1つが、ボールの向き。「昔は腕を上げる際に『ボールを外に向けて』と教わったと思いますが、結局ボールは前に向けて投げるので、(腕の)振り遅れの原因になりやすい」。ラジオ体操の腕振りのように自然に手を上げ、前足を踏み込むのと同時にテークバックの形をつくることで、振り遅れによる「すっぽ抜けを防いで、故障もしづらくなります」と説明した。
その後の内野の守備技術のレクチャーもさすがの内容だったが、そこに至るまでに、予定をオーバーするほどキャッチボールに時間を割いたのが印象的だった。宮本さんは、ボールを投げ合う参加者一人ひとりを回って、丁寧に改善点をアドバイスしていった。

「キャッチボールを肩慣らしでやるのか、スローイング・キャッチングの練習として意識するのかで、どんどん差がつきます。バッティングも一緒。右投げ右打ち、左投げ左打ちの人は、キャッチボールがきちんとできるようになればバッティングも良くなります。踏み出す足と一緒に頭が前に動いてはいけないのは、同じですから」。子どもたちに教える機会があれば、こうした重要性を伝えてほしいと付け加えた。
参加者たちも、上達のコツをつかもうと真剣そのもの。普段、小学生を教えているという西山武晴さんは、「腕の上げ方など勉強になることが多かった。これからは子どもたちにも細かく説明ができる。野球好きが集まった良いイベントでした」と振り返った。
「来年からセ・リーグでもDHが採用されますけど、基本的にボールをきちんと投げられなければ試合には出られない。キャッチボールが一番大事です」と宮本さん。参加者にとっても有意義な時間となったことだろう。
(高橋幸司 / Koji Takahashi)
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