U12やNPBジュニアで採用…「動画選考」突破のカギ ごまかせない“基本動作”の違い

U-12最終トライアウトに参加した桑田真澄監督【写真:黒澤崇】
U-12最終トライアウトに参加した桑田真澄監督【写真:黒澤崇】

「アジア選手権」へ約380人を動画選考…U-12指導陣が語った注目点とは

 近年の学童野球界において、侍ジャパンU-12日本代表やNPBジュニアチームなどの1次選考などで主流となっているのが「動画選考」だ。全国どこからでも挑戦できる一方、画面越しに自分のポテンシャルを100パーセント伝えるのは容易ではない。8月9日から中国・杭州市で行われる12歳以下の国際大会「第12回 BFA U12アジア選手権」に向け、U-12代表の「デジタルチャレンジ」に携わったコーチ陣が、未来の代表やジュニア入りを目指す球児たちへ向けて、選ぶ側の視点から動画撮影の注意点を語ってくれた。

 今回の「デジタルチャレンジ」には約380人から応募があり、33人が突破。6月末の最終選考に臨み、そこから15人の精鋭が選出された。代表を指揮する桑田真澄監督(オイシックス新潟CBO)は、動画選考について「技術的なところしか見ることができないので、送球の安定性や捕球体勢、打撃のミート力、投球はフォームのバランスとかを見て選びました」という。

 桑田監督を支える塚本幸治、野下卓泰の両コーチ(ともに横浜Jブルーウインズ)に話を聞くと、重点を置いたのは、単なる打球の飛距離や球速といった「目に見える数字」だけではないという。塚本コーチは「成長期なので身体のサイズや力があるかということばかりではなく、動きのしなやかさや全体のバランス、連動性といった部分を見ようと、スタッフ間で話していました」と説明。画面越しに限られた動きしか見ることができないからこそ、ごまかしの利かない「基本動作の美しさ」を評価のベースとしたという。

 その上で、選手のポジション適性をどうアピールするかが大事になる。U-12は15人という限られたメンバーで戦うため、複数ポジションを守れるに越したことはない。そこも、保護者や指導者が撮影する際に留意してほしいポイントだという。

 例えば学童では左投げで捕手や三塁手を務めるケースもあるが、限られた動画内で適性を判断するのは難しい。野下コーチは「やはり右投げと左投げ、それぞれの特性に合ったポジションでアピールすること。あとは、引き気味の映像は見づらいので、体の使い方や細かなステップがしっかり確認できるアングルを意識すると良いと思います」と助言を送る。

U-12代表・野下卓泰コーチ(左)と塚本幸治両コーチ【写真:黒澤崇】
U-12代表・野下卓泰コーチ(左)と塚本幸治両コーチ【写真:黒澤崇】

「投げる、打つ、守る」をまんべんなく撮影して「バランスよくアピール」

 U-12の動画選考は打撃、投球、フィールディング、二塁へのスローイング(捕手のみ)、自己PRを90秒以内に収めるとしていたが、自分の得意分野だけに偏った編集も、選考側の判断を難しくしてしまう。野下コーチは「打撃ばかりの映像になってしまったり、得意なところだけを送ってきたりする形ではなく、『投げる、打つ、守る』をまんべんなく撮影して、バランスよくアピールすると良いと思います」と語る。

 まずは自分の強みをしっかりと理解し、それを誇張することなく素直に画面に収めること。カメラの引きと寄りのバランスを考え、「この選手の動きを、実際にもっと見てみたい」と思える、丁寧な動画作りが選考突破への第一歩となる。同様に16人の少人数で戦うNPBジュニアの選考に挑む際にも、参考になるはずだ。

(内田勝治 / Katsuharu Uchida)

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