「忘れ物ない?」「水筒足りてる?」 選手の自立阻む“親の先回り”…コロナ禍影響も

“先回り”をやめれば自立する…指導者との信頼生む「適切な距離感」
「良かれと思って、つい先回りして子どもの荷物の準備してしまう」「グラウンドでの子どもとの距離感がわからない……」。少年野球を支える保護者にとって、永遠のテーマかもしれません。First-Pitchがお届けするポッドキャスト番組「野球ママへの応援歌」では、栃木の学童野球チーム「田沼アスレチックベースボールクラブ(BBC)」の金井田厚子さんをゲストに迎え、親の過保護を回避するコツや自立を促すサポート法のほか、指導者との良好な関係づくりについて教えてもらいました。
「忘れ物はしていない?」「水筒の中は足りている?」――。ついつい子どもに対して“先回り”し、確認や準備をしてしまう保護者は少なくありません。「特にコロナ禍で小学校入学を迎えた世代の保護者の皆さんには、危険や困難から守りたいという思いが強く残っているように感じます」。金井田さん自身も、子どもたちのスポーツ活動に関わる中で、日々実感しているそうです。
もちろん、我が子を思う愛情だからこそ否定はできません。それでも、何でも親が先回りをして“危機回避”をする行動が、本当に子どものためになっているのか「一歩立ち止まって考えてみてはどうでしょうか」と、金井田さんは呼びかけます。
保護者が先に手や口を出してしまうと、子どもが「自分で考えて決断する力」を伸ばす機会を奪ってしまいます。例えば、水筒のお茶がなくなったときに自分から「お水や氷をください」と言える子がいる一方で、普段から親が減り具合を見て補給している子は、大人がどうにかしてくれると思い、「自分から言えない子」になってしまうことも……。
グラウンドでの判断力や自主性は、日頃の決断の積み重ねから育まれていくもの。実際に、大人が思っている以上に子どもは自分で判断し、行動する力を持っていると金井田さんは言います。
「車を降りた瞬間からそこはグラウンド。荷物運びも自分でできるはず。大事なことは先回りではなく、後ろから“支える”ことだと思います」。もちろん、何もかも子どもにやらせるのではなく、状況に応じて柔軟に手を差し伸べる。それにより、親の本当の愛情や安心感が子どもに伝わるはずです。
指導者も悩み、努力している…互いを尊重し合う関係づくりを
試合中、バックネット裏から「声を出しなさい!」「しっかりしなさい!」と大声で声をかける保護者を見かけることがあるでしょう。子どもにとって、特に母親の声は広いグラウンドの中でも耳に届きやすいもの。一説によると、胎児の頃から聞き慣れている声だからともいいます。
もし、監督・コーチが重要な指示をベンチから出しているタイミングで母親の声が響くと、子どもは無意識にその声に引っ張られ、集中力が切れてしまうことも。試合中はできる限り冷静に見守り、試合後に「今日もお疲れ様、頑張ったね!」とプラスの言葉をかけてあげることが、次の意欲につながります。
保護者が「監督は何を考えて指導しているのだろう?」と不安を抱くのと同様に、指導者側も「保護者はどう思っているか」と常に心を配っていると金井田さんは語ります。田沼アスレチックBBCでは、月に1回「指導スタッフ会議」を開催し、選手一人ひとりの性格や課題、成長の方向性を共有しているそうです。
一方で、栃木県野球連盟理事も務める金井田さんは、監督一人が悩みを抱えるのではなく、指導者同士が悩みや思いを共有し、共感し合える組織づくりが必要だと考えています。「子どもたちに野球を楽しんでもらうためには、まず指導者自身が野球を楽しむことも大切」。互いに支え合いながら、指導者も子どもたちも前向きに活動できる環境を目指しています。
グラウンド上で指導者と交わした会話やアドバイスなどを通じて、「親が知らない場面で、子どもたちは大きく成長しています」と金井田さん。指導者だけが孤立するのではなく、互いの考えを尊重し合う。そして「前に出すぎず、後ろからそっと支える」――。そんな親の距離感が、行動力をつけ、伸び伸びと輝く子どもたちの笑顔につながっていくはずです。
◇ポッドキャスト番組「野球ママへの応援歌」は各種音声リスニングサービスでお聞きいただけます。
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(First-Pitch編集部)
球速を上げたい、打球を遠くに飛ばしたい……。「Full-Count」のきょうだいサイト「First-Pitch」では、野球少年・少女や指導者・保護者の皆さんが知りたい指導方法や、育成現場の“今”を伝えています。野球の楽しさを覚える入り口として、疑問解決への糸口として、役立つ情報を日々発信します。
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