中学軟式→高校で選手半減は「惜しい」 野球離れ阻止へ…プロが伝える“硬式上達”のコツ

高校野球を目指す中3軟式選手を支援「FIGHTERS LEGENDS野球教室」
プロが中学軟式選手を支援する画期的な試みが行われた。中学3年生を対象にした「FIGHTERS LEGENDS野球教室」が14日、エスコンフィールドHOKKAIDOで開催された。北海道日本ハムファイターズOBの金子誠氏と田中賢介氏、およびファイターズアカデミーコーチが、道内各地から集まった33人を直接指導。軟式球を握っていた選手たちに、硬式野球の楽しさと上達のコツを伝えた。
中学軟式の選手をメーンに据えた野球教室は球団初の試み。背景には、大きな危機感がある。企画したファイターズベースボールアカデミーの浅沼寿紀コーチは、「中学軟式野球から高校で野球を続ける子が半分というデータを見て、何かできないかと思いました」と話す。高校での継続率が落ちる要因については、勉強やお金、時間のほか、他のスポーツの魅力など多岐にわたると見ている。「ただ、野球が嫌いで辞める子はほとんどいないので、野球が好きなのに続けられなくなるのは、やはり惜しい」とジレンマをのぞかせる。
球団としては、リトルシニア、ボーイズリーグ、ポニーリーグと団体の垣根を越えたファイターズ中学硬式野球大会(FBC U-15 POWERED by HONDA)を開催し、今年で11回目と歴史を積み重ねている。一方で「中学軟式野球は、これまでに、十分な取り組みには至っていませんでした」と浅沼コーチ。中学軟式野球にも本腰を入れて関わっていくことで、少しでも野球人口減少に歯止めをかけたいという思いがある。エスコンフィールドでの開催、参加料無料という点を見ても、その本気度はひしひしと伝わってくる。
90分間の野球教室は、自身も中学軟式出身である金子氏の「硬式と軟式の違いを分かった上で、高校に行くまでの間にどういうことに取り組めば良いか、今日はぜひヒントを見つけてください」という呼びかけで始まった。
実施したメニューは、ゴールデン・グラブ賞を3度受賞した金子氏が自ら考えた。ウオーミングアップ、キャッチボールの後は、両膝を地面につけた状態でゴロを捕球する「膝立捕球」や「コロコロ捕球&スロー」「ノック&スロー」「カットプレー」の4種目を用意。4つのグループに分かれて、10分ごとにローテーションした。

即試合ができるほどのキャッチボールをして守備練習へ
金子氏と田中氏が自ら手本を示す場面もあり、一緒になって汗を流した。最後は、参加者からの質問に答えた。
守備が上手になるコツについて、金子氏は送球の大切さを説いた。「送球がうまくいかなかったら、いくらうまく捕ってもアウトにならない。だから、高校に入ったばかりの頃に送球を磨いて、磨いて。その後に捕る方をひたすら磨いた。グラウンドに一歩入る時には、すぐに試合ができるくらいのキャッチボールをしてから守備練習に入る。常に送球だけは意識する。だから、私の答えはキャッチボール」と実体験を語った。
軟式から硬式に変わることでスイングは変わるか、という質問には田中氏が回答。「基本一緒かなと思うんですけど」と前置きしながら、硬式ではバットの軌道とヘッドの走りを意識することが重要だと説明した。「硬式と軟式の違いは、重さ。バットの重さ、打感、ボールも重い、捕るところも重い。その重さに慣れることが重要。とにかくたくさんボールやバットを握って、慣れるのがいい」とアドバイスした。

この日は平日にもかかわらず、釧路市など遠方から参加した選手もいた。音更町の茅野敬斗さんは「硬式の守備が難しかったんですけど、ボールが跳ねないので腰を落として捕るというポイントが分かりました。高校に入るまでの間、投げる時にはボールの回転を意識してやっていきたいです」と笑顔。札幌市の清水優斗さんは「エスコンでできて良かったし、すごく分かりやすかった。高校でも野球をやります」と目を輝かせた。
ファイターズが中学軟式野球に向けて始めた新たな取り組みは、次のステージへ進む選手たちへの大きな後押しとなるだろう。28日にも金子氏と谷口雄也氏が講師を務め、同様にエスコンフィールドで実施される。
(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)
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