データ時代こそ「野球脳が必要になる」 井口資仁氏が説く準備力…野球教室の“新機軸”

実戦形式で“考える力”を養う「野球脳キャラバン」が千葉県で開催
野球のプレーが上達するには技術も大事だが、思考力も鍵を握っている。野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」が主催する少年野球指導イベント「野球脳キャラバン」が10月10日、千葉県柏市内のグラウンドで行われ、野球日本代表監督の井口資仁氏が講師として参加。事前に脳内でさまざまなシミュレーションをしてプレーに臨むことの大切さを、参加した小学生に訴えた。
「考える力って非常に大事だと思います。今のプロ野球はサインも多いし、タブレットでいろんなデータを見ながらプレーしなくちゃいけない時代になっている。相手も研究してくるし、頭を使うことが増えています。守備も同じで、プレーの前にどんな打球が飛んでくるか、先のことを考えることで、プレーが難しくなくなります」
千葉県内のリトルリーグのチーム、船橋ファイターズと松戸柏レッドスパロウズの選手・指導者、保護者が参加。通常の野球教室では、キャッチボールやゴロ捕球、ロングティーなどを通じて技術を指導するケースが多いが、「野球脳キャラバン」では試合形式のプレーを行い、考える力を養う新しい試みとなった。
キャッチボールなどウオーミングアップを終えた選手は、置きティーを使用して実戦形式の打撃練習。走者を置いてのシートノックも行った。井口氏は打者に対して「守備のポジショニングを見て、どうやって走者を進めるか考えて打席に入ってほしい」と説明。野手には「自分のところに打球が飛んできたら、どう動くか事前に考えておこう」などと声をかけた。
少年野球ではリーグ・連盟によって走者がリードできないルールもあるが、将来を見据えて走塁にも言及。「これから中学、高校に進んでいくにつれてリードをしっかりとることが大事になる。例えば二塁走者は、遊撃手や二塁手がベースを離れていたら、守備位置近くまでリードしていい。一歩、二歩の差で、本塁に還ってこられるかどうかが変わってくる」と力を込めた。

進むデータ野球に対応「いろいろな引き出しを持って」
現役時代は盗塁王のタイトルを2度獲得。ゴールデン・グラブ賞も3度受賞した。メジャーリーグにも挑戦してホワイトソックス時代に世界一を経験。帰国後には日米通算2000安打を達成した。現役引退後はロッテの監督を5年間務めて2022年に退任。今年7月、野球日本代表の監督就任が発表された。
走攻守で実績があり、指導者としての手腕も発揮してきた井口氏の説得力のある言葉に、選手たちは目を輝かせながら練習。選手同士で声をかけ合い、状況を確認してからプレーすることの大切さを伝えた井口氏は、「最初はできていなかった声の連係も、最終的には誰がカバーに入るかなど、しっかりできていた」とうなずいた。
データの収集や分析が進む現代の野球。井口氏は「データ野球が広まって、野球脳が必要になる」と指摘する。この日はプレー前の準備や心構えなど、事前に考えておくことの重要性を小学生に理解させる企画。「野球は全員が同じ考えを持って1個1個アウトを取る、また、1つ1つつないで点を取るスポーツ。自分たちで考えながらやっていくことが大事」と説明した。

「今日は子どもたちがいろいろと考える機会がありました。次のステップの一歩になる。いろいろな引き出しを持って、どう連係していけばいいか考える。自分としても一歩踏み込んだところをやらせてもらって、非常に楽しい野球教室になりました」
小学生の頃から状況を見て、自ら考えてプレーする習慣を身に付けることが、将来の成長につながる。データ活用が進む現代の野球に対応するための、新たな試み。子どもたちにとっても、指導者にとっても、多くの学びを得る一日となったようだ。
(尾辻剛 / Go Otsuji)
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