野球に触れず「大人になるのは悲しい」 斎藤佑樹氏が全国行脚へ…“47×1000”の底上げプラン

ミズノ主催のトークイベントで明かした“野球振興計画”…11月に第一歩
“ハンカチ王子”が夢の続きを、ファンに熱く語った。早実、早大、日本ハムで活躍した斎藤佑樹さんが10月3日、東京・千代田区の「MIZUNO TOKYO」で開催されたトークイベントに登場。甲子園優勝の歓喜や、大学・プロ野球時代の苦闘を振り返るとともに、これからの「球界への恩返し」と野球普及への壮大なプランも明かした。
「斎藤佑樹 CATCHBALL TALK-ここだけの裏話×あなたの想いを、一球に。」と題された、スポーツ用品メーカー・ミズノ主催のイベントには、全国各地から60人のファンが参加した。前半は「松坂大輔さんに憧れた」という幼少時代から、20年前の早実での甲子園優勝、早大から栗山英樹監督(現CBO)と共に戦った日本ハム時代まで、裏話を交えながらたっぷりと回顧した。
斎藤さんといえば、甲子園優勝や2012年の開幕戦完投勝利など華々しい活躍が思い浮かぶ一方、プロ生活後半は肩肘の故障に長く苦しんだ。「2軍戦の頭数にもなれず、投手陣にも負担をかけてファンや球団に申し訳ない思いが強かった」と率直に振り返りつつ、「怪我があったからこそ体のことを知ったり人生について考えたり、得られたことも多かった。怪我をしていなかったら、もっと調子に乗っていたかも」と笑った。
だからこそ、“野球”への感謝と恩返しの思いが強い。「2軍でも1軍でも引退試合をさせてもらえた。プロ11年間を見れば、そこまでの選手ではなかったけれど、球団からは『野球界にとって大事な人間だから』と言っていただけた」と、高校・大学も含めて評価してくれたことに感謝し、「そうしたプロ、アマを問わず野球を長く続けてくれる人を増やしていきたい」と口にした。
イベント後半は、参加者1人1人と斎藤さんがキャッチボールをしながら、質問をしたり思いを伝えたりするスペシャル企画も。小学生時代から愛用してきたミズノのグラブへのこだわりも披露し、「使ってきたグラブを保管しておくことも、すごく大事。将来、自分が歩んできた過去を振り返る上でも、思い出のグラブは大切になります」と子どもたちに向けて伝えてくれた。

球場作りに「野球列島プロジェクト」…幼少時に「野球が身近にあることが大事」
この日の参加者の1人は、「(斎藤さんは)言葉に説得力があり、口にしたことを行動に移してきていることに尊敬します」と語っていたが、実際に「株式会社斎藤佑樹」を引退後に立ち上げ、キャスターなど目まぐるしく活躍する一方、早速、球界への恩返しを実行に移している。
まず1つが、北海道長沼町に昨年オープンさせた「はらっぱスタジアム」。両翼70メートル、中堅85メートルの少年野球向け球場は、映画『フィールド・オブ・ドリームス』や栗山監督の「栗の樹ファーム」に触発された作ったものだ。用地探しなど悪戦苦闘もあったそうだが、今年は日米豪・ブラジルの4か国のチームを集め国際試合を開催。来年以降はさらに参加国・地域を拡大する構想があるといい、「合宿ができるように宿泊施設も併設できれば」と斎藤さんは目を輝かせる。
そしてもう1つが、47都道府県を自ら行脚する「野球列島プロジェクト 全国野球キャラバン」だ。主に9歳までをターゲットに、未経験の子どもから経験者まで幅広く参加できる野球体験型プログラムを実施。第1回は11月28日、山口県の「山口マツダ西京きずなスタジアム」で開催する。

「野球人口が減ってきているのは球界の大きな課題。野球をやってきた人間にとって、子どもたちが白球に全く触れずに大人になってしまうのは悲しい」と斎藤さん。「僕も小学1年生で野球を始めましたけど、その年代のタイミングで野球が身近にあることが大事。しかも『楽しい』って感じてもらえることが重要だと思います」。“野球教室”ではなく“体験”としているのがミソで、上から目線ではなく、「子どもたちと一緒に楽しみたい」という斎藤さんらしい思いが込められている。
4年間をかけて全国を回り、各所で「1000人を目標に集めたい」という壮大なプロジェクト。「できるだけ多くの子どもたちが野球と触れ合えるイベントにしていきたいですね」。ハンカチ王子ならば、各地で大盛況に導き、球界を土台から盛り上げてくれることだろう。
(高橋幸司 / Koji Takahashi)
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