キャッチボールで守るべき「2つの鉄則」 強豪・星稜中を変えた“35mの正確送球”

元プロで星稜中OB、北村拓己さんが解説…送球が安定するキャッチボール
野球の基本であるキャッチボールには、守備上達に直結する“鉄則”があるという。中学軟式野球の強豪、石川の私立星稜中でアドバイザーを務める北村拓己さん(元巨人、ヤクルト)は、キャッチボールで「35メートル」を正確に投げる力が、内野守備において重要だと解説する。北村さんの母校であり、8月に横浜スタジアムで行われた「第43回全日本少年軟式野球大会ENEOSトーナメント」で、5年ぶり5度目の優勝を果たした強豪の練習に密着し、詳しく話を聞いた。
手際良くウオーミングアップを済ませるとキャッチボールに入っていくが、北村さんは、強く正確な送球を身につけるために、絶対に守るべき2つの“鉄則”があると語る。
まず1つが、体を大きく使うこと。「体を小さく使って短い距離を投げることに慣れてしまうと、そこから大きく体を使って遠くに投げられるようになるのは大変です。送球も強くなりません」と明かす。
プロの世界で内野の複数ポジションを守り、堅守で活躍した北村さん。全身を使って強い送球を投げる感覚をまずは習得し、スナップスローや近距離を投げる技術は後からでもできるようになると話した。
もう1つが、35メートルを強く正確に投げることだ。塁間は27.43メートル。それよりも少し長いが、この距離感が重要だ。「キャッチボールって塁間でやりがちですけど、守備の時ってベースの後ろで守っていますし、中継プレーもあるので、塁間より長い距離を投げているんですよね」。
北村さんは続ける。「この距離感を正確に投げられると、内野手の送球はかなり安定します」。塁間より少し長い30〜35メートルを、キャッチボールから強く低く投げる。これらは高校生でもできていない選手が多く、送球が抜ける大きな原因の一つになると話す。
また、投げる前の捕球も重要だ。「速い打球の時は特に慌ててしまってボールが抜けてしまうので、『まずはしっかり自分のものにしよう』と教えています」と北村さんは解説する。

5年ぶり5度目全国Vに繋がった「焦りすぎ改革」の片鱗
中学生は体も成長し、強烈な打球も多い。必要以上に距離を詰めようとすれば、バウンドが合わず弾いたり、良い送球に繋がらなかったりする。一方で、打球を捕れさえすれば、しっかり足を使って低く強く正確に投げる技術はキャッチボールで身についている。「まずは打球のラインにしっかりグラブを向けてしっかり捕る。そこからステップして送球に繋げていいよと教えています」。
振り返れば今夏のチームも、春の全国大会では打球をしっかり捕れず送球を焦り失策し、3連覇を逃した。北村さんによってキャッチボールから見直す「焦りすぎ改革」を経て守備を鍛え直した。春は3試合で3失策を記録したが、夏の全国大会では4試合で8人が入れ替わり内野を守り2失策と、目に見えて守備を改良したことが優勝に繋がった。

取材日は小雨。グラウンドは人工芝。ボールが濡れて送球が抜けやすい状況だったが、北村さんは「夏の横浜スタジアムで『雨で滑って悪送球しました』では勝てません。この環境でも投げられる力感を掴む良い訓練になりました」。星稜中が強豪であり続けられる理由が詰まったような、高いレベルを追い求める言葉だった。
(磯田健太郎/Kentaro Isoda)
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