まだ全国に36校…女子野球部の拡大へ「何でもやる」 “駒苫ブランド”生かしたPR戦略
女子野球の「今」を伝える連載の第2弾、駒大苫小牧の熱血漢の奮闘追う第2回
野球人口の底辺拡大を願い、Full-Countでは女子野球の「今」を伝える連載を随時展開している。第2弾は、今春に創部した駒大苫小牧の女子硬式野球部。男子野球部の副部長、部長として2004、2005年の夏の甲子園優勝に貢献し、昨秋から女子野球の世界へと飛び込んだ茶木圭介監督の奮闘ぶりに迫る。全3回の第2回は、“駒苫ブランド”を活用した広報活動について紹介する。
今春に創部した駒大苫小牧には、全国から1期生24人が集まった。彼女たちに野球を教えるのは、茶木監督と女子プロ野球選手から転身した佐藤千尋部長だけではない。茶木監督を慕う駒大苫小牧男子野球部のOBが入れ替わり立ち替わり、女子専用グラウンドを訪れる。
今秋のドラフトで1位指名を受け、苫小牧駒大から日本ハムに入団した伊藤大海投手もそのひとり。大学屈指の右腕の言葉に、球児たちは食い入るように聞き入った。「多い時は週1回来てくれます。ブルペンでピッチングを見てくれますし、変化球も教わりました。チェンジアップの投げ方は、近くにあったトンボを背中に刺して、腕と体の連動性をイメージさせてくれるなど、すごく分かりやすいです」と左腕の小笠原星投手(1年)は感謝する。
「(伊藤)大海だけじゃないですよ。先日は甲子園V2の時にキャッチャーだった小山(佳祐)が捕手を指導してくれました。大学ジャパンの監督を務めた生田(勉)さんや、コーチを務めた野村昭彦さんもここに来て、うちの選手に講話してくださいました。この1年、相当名刺をバラまいてますからね」と茶木監督は豪快に笑った。
男子野球部長時代に培った人脈を生かし、親交のある指導者やメディア関係者に名刺を配りまくっている。「『へぇ、いつからやっているの?』という話だけでもいいんです」と、まずは女子野球という言葉を相手の頭にインプットし、興味を持ってもらう。
反響は思った以上にあった。地元テレビ局が、男子と同じユニホームで全国制覇を目指すチームを3年間密着取材することに。旧知の指導者からは「どのくらいお金がかかるの?」といった具体的な問い合わせも来ている。「女性の社会進出が叫ばれる中、関心を持っている学校はありますし、まだまだ増えるんじゃないですか」と茶木監督は手応えを口にする。