日本ハムの今季を振り返る 有原&上沢ら先発陣が奮闘も、中継ぎ陣に課題【投手編】
チームトップの8勝を挙げた先発3本柱
栗山体制9年目として昨季5位からの巻き返しを図った日本ハム。しかし、今季も序盤から波に乗れず、53勝62敗5分の5位でシーズンを終えた。本記事は投手を中心とした前編、野手を中心とした後編に分けて、各選手にフォーカス。パーソル パ・リーグTVの特集動画「シーズンレビュー2020」とともに、日本ハムの2020年シーズンを振り返っていく。
チーム防御率は4.02でリーグ4位、失点は528でリーグ5位という成績で、どちらもリーグ3位だった昨季から悪化。それでも、奪三振数は昨季のリーグ5位からリーグ3位へ。また、昨季は143試合でわずか1完投だったのに対し、今季は試合数が少ないなかでリーグトップの5完投と良化した数字も見られた。
いずれもチームトップタイの8勝をマークした有原航平投手、上沢直之投手、バーヘイゲン投手が先発陣を支えた。なかでもエースとして期待されたのが有原だ。自身2度目の開幕投手を務めた今季は、序盤なかなか勝てない時期が続いたものの1年間ローテーションを守り切り、チームトップの132回2/3を消化。最多勝のタイトルを獲得した昨季の大活躍には及ばずとも、8勝9敗、防御率3.46の成績をマークし、チーム唯一の規定投球回に到達。リーグ最多の3完投も記録し、イニングイーターとしての役割を全うした。
上沢は、昨季6月に左膝に打球が直撃して以降、戦線離脱を余儀なくされていたが、傷が癒えた今季は無事に開幕ローテーション入り。8月11日から10月6日まで9試合連続でQSをマークするなど、その安定感は特筆すべきだろう。エース千賀とのマッチアップとなった9月15日のソフトバンク戦では、両者ともに譲らない展開に。上沢は8回まで133球無失点、一方の千賀も8回まで149球を投じる壮絶な投げ合いを演じ、見事勝利を収めあげた。この試合に限らず、8月11日以降シーズン終了までの全登板で100球以上を投じており、8勝6敗、防御率3.06の数字以上にその貢献度は大きかった。
ここに新たに加わったのがバーヘイゲンだ。デビュー戦となった6月25日に6回1失点で来日初勝利をマークすると、その後も1年間ローテーションを守り切り、8勝を挙げる活躍。150キロを超える速球と変化の鋭いスライダー・カーブが武器で、111回2/3に対し、115奪三振とイニングを上回る奪三振数で打者を翻弄した。コントロールの良さも魅力で、今季与えた四球数はわずか29。これは100イニング以上投げた15投手の中でリーグ3位という好成績だった。10月には29回2/3で失点4、防御率1.21と圧巻の投球を披露しており、来季以降はより一層の成績向上が見込めそうだ。