ロッテ安田は“本物の4番”に成長できるか? 向上した変化球の対応と見つかった課題

ロッテ・安田尚憲【写真:荒川祐史】
ロッテ・安田尚憲【写真:荒川祐史】

2019年は2軍の4番として2冠王、2020年は1軍の4番へとステップアップ

 2020年のロッテを語る上では、シーズンの大半で4番打者を務めた安田尚憲内野手の存在は外すことができない。プロ2年目の2019年は2軍で4番を務め、19本塁打82打点でイースタンの2冠王に輝く活躍を見せた。昨季は開幕1軍を勝ち取ると、そのまま1軍の4番へとステップアップ。シーズン最終盤には打順を下げたものの、自身初の規定打席到達を果たし、21歳の若さで三塁手のレギュラーの座をつかんでいる。

 今回は、2020年のシーズンにおいて安田が残した各種の数字から、若き逸材のバッティングを分析。コース別・球種別の打率、打順ごとの成績、ポストシーズンも含めた今季の本塁打の内訳といった要素から見えてくる、安田の長所と課題に迫るとともに、若き4番が年間を通じて見せた奮闘ぶりを、いま一度振り返っていきたい。

 まずは、安田がこれまで1軍の舞台で残してきた数字について見ていく。過去2年間における出場試合数は合計17試合にとどまっていたが、昨季は全120試合中113試合と、大幅に出場機会を伸ばした。打率.221、6本塁打という数字はやはり4番としては物足りなさを感じるが、出塁率は.326、IsoD(出塁率から打率を引いた値)は.105。これらの数字からは、優れた選球眼を持ち合わせていることが読み取れる。

 選球眼についてより踏み込んだ数字を紹介すると、昨季の安田が相手投手に費やさせた1打席あたりの平均投球数は4.254となっている。この数字は、今季のパ・リーグで規定打席に到達した選手たちの中では、近藤健介、西川遥輝に次ぐ3番目の多さである。打席での粘り強さ、投手に球数を使わせるといった貢献度という面では、既にリーグ屈指のものを備えていると言えそうだ。

ラストバッターを務めた試合では、また違った存在感を見せていた

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