「女子野球界を変えていく」NPB初の公認チーム、西武レディース指揮官が語る“使命感”
新谷博監督が振り返る1年目「十分、土台はできたかなと思います」
野球人口の底辺拡大を願い、Full-Countでは女子野球の「今」を伝える連載を随時展開している。第3弾は、昨年春に発足した埼玉西武ライオンズ・レディース。初めて誕生したNPB公認チームが歩んだ1年と今後の展望について、新谷博監督が語った。
日本代表で主将を務めた出口彩香内野手や、ワールドカップで3大会連続MVPを獲得した里綾実投手らそうそうたる顔ぶれがそろったチーム。昨季唯一の公式戦となった第15回全日本クラブ選手権で初出場初優勝を成し遂げた。新谷監督は「十分、土台はできたかなと思います」とコロナ禍でスタートした1年目に合格点をつけた。
目標は、大会で優勝することだけではない。発展途上にある女子野球界で、新たなスタイルを作っていくという自負を持っている。「そうじゃないと、作った意味がない。ただ優勝して喜んでいるようならライオンズはいらないよ、という話」。そう語る指揮官は、22人の選手たちに女子野球界をリードしていくという使命感を植え付けてきた。
「最初の練習試合の時、プレー後のリアクションにプライド的なものが感じられなかった。見ていてかっこ悪い、ライオンズのユニホームを着て、ダラダラ歩いているんじゃないと言いました」
女子チームで唯一NPB球団のユニホームを着ているからには、模範であり、憧れの対象にならなければいけないという気概を持って選手たちはグラウンドに立っている。
プロ野球チームと同じ名前を冠しているが、プロではなく、クラブチームだ。新谷監督自ら足を運んで、金銭や物品、就職など協力してくれるスポンサーや団体を開拓している。西武からの支援は基本的に、ユニホームや用具、室内練習場の提供と臨時コーチの派遣。22人の選手は仕事を持つ社会人や学生で、週末に練習や試合を行っている。