パ・リーグ&富士通が手がける革新 野球の“未来型視聴スタイル”とは
技術革新が可能とする視聴スタイル、見たい時に見たいシーンを検索
総合エレクトロニクスメーカー大手の富士通が、野球界に大きな影響を与える、といったら驚かれるだろうか。
去る4月20日、富士通は「プロ野球映像の視聴スタイルを革新! 対戦検索サービスをパ・リーグTVで開始」というプレスリリースを出した。このリリースでは、動画サービス『パ・リーグTV』と連携して、新たな野球の視聴スタイルを提案することがうたわれた。
具体的には、野球のシーン、1球1球を動画から検索できるようにし、ユーザーが好きな場面の動画をすぐに閲覧できるようにするものだ。今回はテスト版のため公開は4月末で終了しているが、夏頃から正式版を公開予定(当記事の読者限定で5月15日まで右記URLで公開中 http://vs.pacificleague.jp/vssearch/pc )。
主にコンピューターのハードウェア分野でシェアを持つ富士通が、なぜ野球というスポーツと関係性を持ったのか。今回、富士通で映像技術処理に携わり、このサービス開発の中心人物である同社イノベーティブソリューション事業本部情報統合システム事業部の小口淳氏に、この連携が生まれた理由を聞いた。
――なぜ、パ・リーグTVと連携することになったのでしょうか。
「これまでもパ・リーグTVの技術的な部分で仕事はさせていただいていましたが、もっとユーザーに対して“1球”を見られるサービスを提供したいという意向をパ・リーグTV側から聞いていまして、それを検索できるように取り組んだのが始まりです。野球のプレーは投球から始まるので、投球シーンを認識できさえすれば、検索は可能ではないかと思いました。そこに研究所の技術を充てて、試験を繰り返した結果、精度も高く実装ができました」
――富士通は過去、映像処理技術をどのような経緯で始められたのですか
「もともと、映像の解析技術は、画像と映像、音声などの解析の組み合わせを認識することで行っています。弊社は長い歴史を持つメディア処理研究所というものがあり、映像解析について実績があります。ただ、メディア処理の技術は歴史が長いので、すでに熟成されたものとなっています。現在のトレンドは、より特化して、例えば顔を絶対に間違えず認識するとか、洋服のメーカーを認識するとか、そうした方向が流行りだしています。
今回、パ・リーグTVの根岸執行役員と出会い、パ・リーグTV側の意見を採り入れていく中で、どんどん内容が具体化していっています。野球はメディアにも強いですし、こちらも技術をより高めていける。そしてプロモーションにも繋がるだろうと、お互いのメリットを強く感じていますし、こちらも一生懸命技術開発をしようと強く思っています」