侍ジャパン、快勝の鍵は「低め打ち」 元WBCスコアラーが読み解く攻略ポイント
世界一となった2009年WBCで日本代表チーフスコアラーを務めた三井康浩氏が解説
■日本 7ー4 メキシコ(31日・グループリーグ・横浜)
東京五輪の野球日本代表「侍ジャパン」は31日、横浜スタジアムで行われたメキシコ戦に7-4で勝利し、2連勝でグループリーグA組を1位で通過した。8月2日の決勝トーナメント初戦ではB組1位の米国と対戦する。2009年WBCで日本代表チーフスコアラーを務め、世界一に貢献した野球評論家・三井康浩氏が、侍ジャパンのメキシコ戦の勝因と決勝トーナメントを勝ち抜く鍵を探った。
◇ ◇ ◇
侍ジャパンが序盤から得点を重ねることができた要因の1つは「低め打ち」にあったと思います。
私は試合前から、メキシコの投手の高めのボールには力負けしてしまう可能性が高いので、ストレートを狙うならベルト付近から低めに絞った方がいいと見ていました。特に、この日先発した左腕オラマスは、頭が先に突っ込み、腕が遅れて来る変則的なフォーム。侍ジャパンの打者からは、ストレートも一瞬「変化球」に見え、結果的に130キロ台の球にも差し込まれていました。
1回の攻撃で高めのストレートに手を出した場合は、だいたい空振りかファウル。1死二塁のチャンスは作りましたが、吉田正尚外野手(オリックス)は真ん中高めの速球を打って中飛。続く鈴木誠也外野手(広島)も、高めの速球をとらえ切れず右飛に倒れました。高めのストレートに手を出しているうちは苦労しそうだ、と嫌な予感がよぎりました。
1点ビハインドで迎えた2回、先頭の浅村栄斗内野手(楽天)は真ん中高めの速球に詰まらされながら、右前へ運びヒットにしましたが、これは彼特有のパワーがあればこそ。1死後、菊池涼介内野手(広島)がインローのカーブをとらえて左前打を放って一、三塁とし、9番の甲斐拓也捕手(ソフトバンク)も真ん中低めのストレートを打って同点打となりました。