控えの層も厚い慶大 代打・北村が9回2死から値千金の同点弾「最高の当たり」
代打で同点ソロを放った北村はこれがリーグ戦初安打
東京六大学秋季リーグ戦は26日、第2週2日目の2試合を明治神宮野球場で行い、2季連続優勝を狙う慶大が明大と2-2で引き分けた。9回2死から代打で登場した北村謙介内野手(3年)が右翼スタンドへ同点ソロを放ち、土壇場で追いついた。
5回途中からリリーフし、ここまで無失点と好投していた明大・村田賢一投手(2年)のシンカーを引っ張ると、打球は低い弾道で右翼スタンドへ突き刺さった。「僕の中で最高の当たりが出たという感じです。打った瞬間、興奮して体が震えました」。何度も右手を突き上げ、声を上げ、ダイヤモンドを1周した。
慶大の堀井哲也監督は「引っ張れば長打が出るバッターですけど、まさかホームランとは……」と驚いた様子。「よく打ってくれました。そのひと言に尽きます。なかなか点が奪えない中で最後に追いついて、非常に大きな引き分けだったと思います」と褒め称えた。
さらに指揮官は「バッティングに関しては非常に好不調の波がない、安定感のある選手です。あとはムードメーカー。チームを明るくしてくれる」と北村を評する。今春から代打で起用され始めたが、この試合前まで無安打。リーグ戦8打席目で放った初安打が、値千金のホームランとなった。
目標にしているのは中村晃外野手(ソフトバンク)や吉田正尚外野手(オリックス)ら、NPBで活躍する左の巧打者たちで「当てるのが上手い選手。巧いバッターが好きです」。自身も普段からホームランではなく、バットの芯に当てることを意識して練習に取り組んでいるといい「今日はそれが最高の形になったと思います」と笑顔を見せた。
自身にとってもチームにとっても、大きな一発だ。北村の他にも、ベンチには今季代打で3打数3安打と好調な綿引達也内野手(4年)や、20日の東大2回戦で三塁ブルペンにダイブしながらのスーパーキャッチを披露した新美貫太外野手(4年)らもいる。春はリーグ戦に加え、全日本大学選手権まで制した。さらに秋季リーグ戦、明治神宮大会優勝という“4冠”を狙うには、頼もしい控え選手も揃っている。
(上野明洸 / Akihiro Ueno)