「個人プレーに走らざるを得ない時も」 独立LからNPB復帰を目指した由規の苦悩
独占手記で明かした「ピークを持っていくこと」の難しさ
ヤクルト、楽天で通算32勝を挙げた、ルートインBCリーグ・埼玉武蔵の由規投手。NPB復帰を目指した1年目のシーズンが終わった。東地区で最多の8勝を挙げ、チームの初優勝に大きく貢献。だが目標とするNPBからの声はかからなかった。可能性を信じてチャレンジした1年。独立リーグでしか感じられない喜びと苦悩があった。【聞き手・構成/新保友映】
今シーズンの埼玉武蔵ヒートベアーズは、東地区優勝を果たすことができました。僕自身、公式戦ではすべて先発で15試合に登板し、結果的に首位を1度も渡さず優勝できたのは嬉しかったし、チームとしての財産になると思います。
難しさや楽しさもたくさん感じました。NPB復帰を目指しながら戦うことの難しさという点では、NPBのスカウトが見に来ている中、僕も含めてどうしても、個人プレーに走らざるを得ない時もあったことです。
もちろん、試合の時はそんなことを考えていないけど、トライアウトを含め、自分をアピールしなくてはいけない時、「何で勝負するか」ということを自分で明確にした上で試合に臨まなければいけない。例えば、どの勝負球を選択しなくてはいけないのかとか、「勝ち負けではない」と言いながらも、勝ちに直結するというのが投手の大きな仕事でもあります。それが序盤はチームの勝利と噛み合っていたかなと思いました。
僕自身、6月、7月に自分のピークを持っていかなくてはいけないと言っていたのに、打ち込まれた時期がその時期でした。5回を持たずに降りる場面もあったので、自分でもふがいないなと感じています。正直、1番しんどいところだったかなと感じます。
毎回、NPBのどのチームのスカウトの方が見に来ているという情報も入れながら臨んではいたのですが、スカウトの方が1番増えてくる時期で自分の力を出せなかったことが自分の現状であり、自分の実力なんだなというのを痛感しました。
一方、楽しかったのは試合の雰囲気ですね。優勝争いをしていたというのもあるけど、抑えたらやっぱり嬉しいし、打たれたら悔しい。純粋に野球が楽しいなと感じました。NPBでも、BCリーグでも緊張感があるし、ピンチで抑えれば、「しびれるな」と思いました。プレーオフも久々の短期決戦の緊張感があって楽しめました。