他校の誘い断り東洋大姫路へ 169センチの“小さなエース”が目指す恩師への恩返し

選抜出場を決め意気込みを語る東洋大姫路・森健人【写真:橋本健吾】
選抜出場を決め意気込みを語る東洋大姫路・森健人【写真:橋本健吾】

東洋大姫路のエース・森健人投手は身長169センチ

 身長169センチの“小さな大エース”が聖地で大暴れする。第94回選抜高校野球大会に、14年ぶり8度目の出場を決めた兵庫・東洋大姫路。背番号「1」を背負う森健人投手(2年)は自らを信じ、古豪の門を叩き夢を実現させた。

 吉報が届いてもエースは冷静だった。3月いっぱいで退任する藤田明彦監督とプレーする最後の舞台に向け「ベスト8までは絶対に行きたいが、目の前の試合に集中してまずは初戦に全力を注ぎたい」と静かに闘志を燃やす。

 上背はないが140キロを超える直球とカーブ、チェンジアップ、カットボールと多彩な変化球を操り、試合を崩さない。昨秋の兵庫大会では、3回戦で報徳学園を相手に延長10回完封勝ちで波に乗った。兵庫3位で挑んだ近畿大会でも、初戦で同年夏の甲子園準優勝校・智弁学園(奈良)を完封し、チームを8強に導いた。

 中学時代は龍野ボーイズに所属し、2019年の選手権大会で準優勝。タイガースカップにも出場して甲子園のマウンドも経験した。進路を決める際には他校からの誘いも受けたが「(入学前は)ここ最近、東洋は甲子園に出場していなかった。自分の力でどれだけ(チームが)いけるか試したい思いが一番強くあった」と、あえて“いばらの道”を選び自身の成長を促した。

 県内トップクラスの厳しい練習で知られる学校だが「兵庫県内で一番、どこがいいか考えて、自分の中であっていると感じた。野球に集中できる、一番惹かれた」と言い切る。藤田監督からは「変化球が生きるためには真っすぐが大事」と指導を受けエースに成長。恩師との最後の舞台となる選抜は「2年間、教えて頂いて感謝の気持ちが強い」と結果で恩返しするつもりだ。

 今オフは肉体改造に着手し、体重は3キロアップの70キロに到達。ボールの質も変わり、制球も安定したことで手応えも得たようで「大会でもトップレベルを争えるようなピッチングをしたい」と全国デビューを見据えていた。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY