選手が用意した“花道”は14年ぶりの選抜出場 東洋大姫路の名将が思わず感極まった理由
藤田監督は今年3月31日付で定年退職により退任、選抜が最後の指揮
群雄割拠の兵庫を戦い抜いた名将が声を張り上げ喜びを爆発させた。第94回選抜高校野球大会の出場32校を決める選考委員会が28日、大阪市内で行われ東洋大姫路が14年ぶり8度目の出場を決めた。今大会が最後の指揮となる藤田明彦監督は「14年間待ったんだよ、この日を! ありがとうと言いたい」と感無量だった。
近畿の“7番目”として出場が決まると藤田監督は目頭を熱くした。昨秋の県大会で3位に入り、出場した近畿大会では8強入りも当落線上だっただけに「なかなか(出場校の名前が)呼ばれなかったので。ここまでずいぶん長い間、辛い時期を過ごした。特別、嬉しい気持ちです」と振り返った。
3月31日付で定年退職により退任が決まっている指揮官にとっては最後の聖地・甲子園だ。1997年から2006年、2011年からここまで計19年間、同校を指揮し、春夏通算5度の甲子園出場を誇る名将は「選手たちは歴史の1ページを開いてくれた。次は“勝利”を、目標は3つ勝ちたい。大きなことを考えています」と4強入りを誓った。
退任することをナインに告げたのは昨年8月の新チーム結成直後だった。試合や練習でも、なかなか思うような結果が出ず苦しい時期だったが「そのことがきっかけか分からないが、選手たちは変わっていった」とナインの変化を感じ取った。
藤田監督の“花道”を用意するため選手も必死だった。退任を聞いた次の日の朝に岡部虎尉内野手(2年)はナインを集めミーティングを開いた。「最後なので甲子園で指揮を執ってもらおうと皆に伝えた。選手たちも変わって、そこから始まった」。1日でも長く指揮官と共にプレーすることだけを目標に厳しい練習をこなしていった。
集大成となる選抜に向けて指揮官は「野球そのもののスタイルは変えない。泥臭い野球、全力疾走でやってほしい。このチームは特別な子はいないが、勝負強い。ここぞという所で力を発揮してくれる」と、古豪復活に期待を込めていた。
(Full-Count編集部)