大谷翔平、労使合意で10年350億円の大型契約も リアル二刀流開幕へ“超速調整”か
4月8日開幕で30歳でのFA権取得を“回避”した
エンゼルス・大谷翔平投手はメジャー初の開幕投手へ調整力が試される。メジャーリーグ機構(MLB)と選手会は10日(日本時間11日)に難航していた新労使協定の締結で合意。エンゼルスの開幕戦は4月7日(同8日)の本拠地・アストロズ戦に決まった。
当初バッテリー組のキャンプインから開幕まで42日間あったが、今季のキャンプ期間は25日に。マンフレッド・コミッショナーは2月10日に約4週間の春季キャンプ期間が必要としていたが、若干短い期間での調整が求められる。そして何より大変なのが投打の二刀流選手であることだ。
オープン戦は結果より調整、各自の課題潰しに主眼が置かれる。投手なら初登板の30、40球から徐々に伸ばし、オープン戦期間中に80球超に伸ばしていく。打者でトラウトのような主力は50、60打席に立つ。MVPを受賞した昨季、大谷はオープン戦で4試合10回1/3で224球。1試合最長は2回1/3で、最多投球は63球だった。一方、打者では15試合35打席。いずれも投打専任の選手に比べて少ない調整機会で準備を整えた。
オープン戦は18日(同19日)に始まる見込みで、正式な日程は今後発表されるだろう。NPB時代から「オフは時間が足りない」と語っていたストイックな男だ。体の準備は問題ないだろうが、“心技”をいかに整えていくのか。2年連続MVPが期待されるシーズン最初の関門となりそうだ。
さらに試合がキャンセルとなっていれば、大谷のFA権の取得は29歳で迎える2023年オフから30歳となっている2024年オフへと先送りになっていた。開幕が大幅延期とならなかったことで、20代でFA権を取得できる可能性が残った。メジャーでは30歳を超えての大型契約は敬遠されるだけに夢も広がる。
MLB公式サイトのレット・ボリンジャー記者は「2021年のような活躍をあと2年できたとすれば、8~10年、2~3億ドル(約234億~350億円)の契約を得られる可能性もある」と予想していた。大谷本人は気にしてないだろうが、前例のない二刀流選手が脂の乗った年齢でどのような評価を受けるのか。ファンにとっては間違いなく楽しみの1つだろう。
(小谷真弥 / Masaya Kotani)