認めたくないイップス「腕の感覚がない」 ティモンディ高岸が“野球を消した”過去
売れっ子芸人が“野球を消した過去”…大学1年時にイップスを発症
「僕はポジティブじゃないと思います」。お笑いコンビ「ティモンディ」の高岸宏行は、そう言って笑う。7月に独立リーグ・ルートインBCリーグの「栃木ゴールデンブレーブス」に入団。愛媛の名門・済美高出身で、29歳にして“プロ野球選手”となったが、大学時代には挫折し、夢を諦めた過去があった。
中学時代は地元・滋賀の軟式クラブチームでプレー。中学3年生ですでに身長は180センチあった。ある日、ノーヒットノーランを達成した試合を、たまたま済美のスカウトが見かけたことにより、名門校から誘いを受けた。上甲正典監督のもとで3年間プレー。プロから下位指名の声はかかっていたが、ドラフト1位でのプロ入りを目指して、卒業後は東洋大に進んだ。
当時、チームは鈴木大地内野手(現楽天)、藤岡貴裕投手(元巨人)、小田裕也外野手(現オリックス)ら精鋭揃い。「このレベルの中で、1年生から投げないとドラフト1位ではプロに行けない」。過度なプレッシャーが、身体に異変を生じさせた。
「10球中10球、指にかかったボールを投げないといけないんだと、自分を無理に追い込んでいました。近い距離のキャッチボールも、全部完璧な球を投げないといけないと思い込んでいたら、どんどん投げられなくなって……」
入部して3、4か月がたった頃、投内連係での送球が上にすっぽ抜けた。「何やってるんだ。ちゃんと指のかかったボールを投げないと」。打者に対しては投げられても、近い距離が投げられなくなっていく。フォームはどんどん崩れていき、悪循環に陥る。「イップス」だった。