無念の2年連続指名漏れ…九大初のNPB選手目指した左腕、実らなかった“覚悟”
育成指名を期待も…わずかな望みをかけたソフトバンクが14巡目で終了
国立の九大から史上初のNPB選手へ。そう話題になった昨秋のドラフト会議で指名漏れ。あれから1年。九州アジアリーグ・火の国サラマンダーズの選手となった芦谷汰貴投手は“1年勝負”で挑んだ今季、同リーグで最多勝、最優秀防御率、最多奪三振の投手3冠に輝いて結果を残し、吉報を待った。しかし、願いは届かなかった。
20日に行われた「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」。芦谷は支配下選手の指名が全て終わると、一度深呼吸し、再び会場に用意された席に腰を下ろした。支配下では叶わなかったが、育成ドラフトで……。「ここからが本番」とばかりに、名前を呼ばれるの待った。続々とアナウンスされる“選択終了”の声。そんな中で新設される4軍を見据えたソフトバンクが、予想通りに指名を続けていた。
育成ドラフト序盤は右投手の指名が続いていた。「そろそろ左が呼ばれるのではないか……」。そう期待を抱きながら待ち続けたが、待っていたのは無情の結末。一縷の望みだったソフトバンクも14巡目で指名を終えた。芦谷の名前が呼ばれることはなかった。ドラフト会議終了後、芦谷は言葉を振り絞って、集まった報道陣の取材に答えていた。「何かが足りなかったんだろうなと……」。こみ上げるものも感じた。
最後まで指名を続けていたソフトバンクからは調査書も届いており「絶対に来ると信じて最後まで待っていました」。芦谷は、ソフトバンクとの3軍戦でアピールに成功していた。交流試合、練習試合で15回2/3を投げてわずかに1失点。投球イニングを超える18個の三振を奪った。3軍戦とはいえ、春先には柳田悠岐外野手、周東佑京内野手とも対戦しフライアウトに仕留めた。「やはりプロは違うなと感じましたね。このクラスになるとどこでも拾ってくる雰囲気、怖さを感じました」。調整段階だったとはいえ、自信にもなった。