12球団ワースト“脆い守備”の象徴…来季は誰が守る? 岡田新監督悩ます「二塁手事情」
今季最多出場の糸原か、日本ハムから獲得した渡邉か
阪神は今季、開幕9連敗を喫しながら、最終的には3位に滑り込んだ。ただ、2005年から17年連続で優勝を逃している現状。勝ちきれない一因として、守備の脆さが挙げられる。失策数は昨年と同じ86個で、12球団ワーストタイ。2018年から5年連続で12球団最多で、喫緊の課題となっている。
セイバーメトリクスの指標などでデータ分析を行う株式会社DELTA(https://1point02.jp/)によると、守備全般の貢献度を示す指標「UZR」で、阪神は-22.8。同じ守備位置の平均的な選手が守る場合に比べてどれだけ失点を防いだかを表す数値で、12球団中11位だった。ポジション別で最も悪かったのが二塁手で-13.0。12球団でワーストだった。
今季阪神の二塁は、糸原健斗内野手がチーム最多の63試合(412イニング2/3)。次いで山本泰寛内野手が59試合(344イニング)に出場した。UZRでは糸原は-8.1を記録。山本は-0.2。24試合(160イニング1/3)の木浪聖也内野手も-2.0とマイナス指標だった。守備範囲を表す指標「RngR」を見ると、糸原は-7.7で100イニング以上守備についた選手の中では12球団ワーストだった。
チームは18日、2対2の交換トレードで、日本ハムから渡邉諒内野手と高濱祐仁内野手を獲得。特に渡邉は二塁を守ることが予想されるが、二塁手としてチーム最多の81試合(675イニング2/3)に出場した2021年の指標を見ると、UZRは-10.9で、同年100イニング以上守備についた選手では糸原(-9.6)の次に低い12球団で最下位だった。RngRは-12.1で、糸原(-6.2)より低い指標を記録している。
今季のチームの二塁手でUZRがプラスだったのは36試合(172イニング2/3)で二塁を守り、UZR1.0だった小幡竜平内野手と、7試合(55イニング)でUZR0.0の高寺望夢内野手だが、ともに打率が1割台で打撃面での成長が急務。補強でいえば、今月20日のドラフト会議で獲得した内野手は5位指名の天理高・戸井零士内野手のみ。FA市場を見渡しても、二塁のUZR12球団トップの15.4を記録した西武・外崎修汰内野手は既に残留を表明。ロッテ・中村奨吾内野手は昨季まで高い守備指標を記録していたが、今季はガクッと落ち込み、レギュラー定着以降最低のUZR-9.7を記録している。
来季からは岡田彰布新監督に加え、ヘッドコーチに今季まで2軍監督を務めた平田勝男氏が就任する。この2人は日本一に輝いた1985年に二遊間を組んだ間柄でもあり、センターラインの重要性は深く理解しているはず。鳥谷敬以来空席となっていた遊撃の定位置は中野拓夢内野手が掴んだ格好となったが、虎の二塁手事情は、来季から直ぐに課題解決とはいかなさそうだ。
(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)
データ提供:DELTA http://deltagraphs.co.jp/
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。