審判への“神対応”や素手キャッチも 今季で現役引退、嶋基宏の楽天時代を振り返る
球団創設3年目の2007年から13年間、主力捕手として楽天を支えた
ヤクルトの嶋基宏捕手が2022年シーズン限りで現役引退し、ヤクルトのバッテリーコーチ兼作戦補佐に就任した。嶋は2007年から2019年まで13年間にわたって楽天の主力捕手として活躍。創立3年目で戦力の乏しかった時期からチームを支え続けた功労者でもあった。2013年に楽天が球団初の日本一に輝いた時も、嶋は大きく貢献。2012年12月からは日本プロ野球選手会の会長を5年間にわたって務めた。今回は嶋が楽天で見せた活躍を振り返る。
嶋は2006年の大学生・社会人ドラフト3巡目で楽天に入団。大卒1年目の2007年から125試合に出場し、早くも主力の座に定着。2010年には自身初の規定打席に到達し、打率.315を記録した。2011年開幕前には東北地方を未曾有の大震災が襲ったが、当時選手会長の嶋は「見せましょう、野球の底力を」という言葉で勇気づけた。2013年にはチームは悲願の日本一に。嶋も不動の正捕手として優勝に大きく寄与した。
印象的なプレーも数々。2013年6月3日の中日戦でサヨナラ打。ベンチから大きな声で声援を送っていた田中将大投手に報いる一打だった。同年7月26日のロッテ戦でもサヨナラ安打。このシーズンに24勝無敗の成績を残した田中の連勝記録を継続させた。2015年6月10日のDeNA戦では小飛球を素手で捕球して併殺に。
2019年5月2日のソフトバンク戦ではフライを追って球審と激突。捕球後にすぐさま気遣った。2019年5月15日の日本ハム戦で放った現役最後の一発で見せた全力疾走も印象的だった。2010年代のNPBを支えた嶋。草創期のチームとともに成長を遂げていった杜の都の司令塔が楽天にもたらした数々の無形の財産は、2013年のチームが放った輝きとともに、ファンの心にいつまでも残り続けることだろう。
(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)