深夜までTVゲーム→寝不足の決勝マウンド 坂口智隆氏が後悔する高校最後の夏

今季限りで現役を引退した坂口智隆氏【写真:中戸川知世】
今季限りで現役を引退した坂口智隆氏【写真:中戸川知世】

最上級生となった新チームでは主将に任命されるも2週間で剥奪

 近鉄、オリックス、ヤクルトで20年間プレーし、今季限りで現役を引退した坂口智隆氏。神戸国際大付高では1年生エースとして初の甲子園出場に導きながらも、その後は苦しい時が続いた。バファローズ魂を胸に抱き、“最後の近鉄戦士”と呼ばれた男の野球人生を振り返っていく連載の第5回は「ミラクル起こした高校最後の夏」。

 最上級生となり青木尚龍監督から主将に任命されるも、わずか2週間で剥奪。新チームも連敗続きで秋、春は県大会で未勝利と結果も出ず、指揮官からは「やんちゃな奴ばかりで手がかかる。お前らは史上最低な代だ!」と言われるほどだった。

 ノーシードで迎えた最後の夏。高校野球雑誌の予想でダークホースにすら名前が上がらなかった“やんちゃ軍団”は、意地を見せる。初戦で浜坂に8-1のコールド勝ちを収め、新チーム結成後、県大会初勝利をマーク。その後も順当に勝ち進み、4回戦の滝川第二戦では「生涯最高の投球」と自画自賛の投球で1-0完封勝ち。夏休みを満喫するつもりだった選手たちからは徐々に「甲子園」の言葉が出るようになっていた。

「なんで勝っているのかも分からない。あれだけボロカスに言われていた個性派集団が覚醒したかもしれない。今も学校で語り継がれる奇跡の勝利も凄かった」

準決勝の市尼崎戦は9回2死走者なしから5点差をひっくり返す奇跡のサヨナラ勝ち

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