味方ファンから「クビ」と大合唱された“名将” 試合中に居眠りも…限界だった78歳
Wソックスのラルーサ監督は、プレーオフ進出を逃して健康問題で退任した
2014年に米野球殿堂入りし、3度のワールシリーズ制覇を達成した名将が、あまりにも寂しい形で退任を迎えた。トニー・ラルーサ監督は今季、ホワイトソックスを率いて2年目だったが、地区優勝の最有力とされながら、81勝81敗の地区2位に沈み、ポストシーズン進出を逃した。78歳と高齢で体力の限界もささやかれ、試合中の居眠りなどにファンの不満は爆発。スタンドからは「トニー、クビ」と歌われる始末だった。
繰り返す采配ミスにファンの我慢が限界に達したのは6月10日(日本時間11日)だった。米メディア「CBSスポーツ」のダイン・ペリー記者によると、9-11で敗れた本拠地でのレンジャーズ戦で、延長10回に、ファンが「トニー、クビ」のチャントを大合唱。このことを問われたラルーサ監督は「私は勝ってほしいという気持ちに対して感謝している。そして、勝たなかったら、彼らは不機嫌だ」と語っている。
8月1日(同2日)のロイヤルズ戦では、試合中に居眠りする姿がお茶の間に流れ、騒動になった。地元放送局「NBCスポーツ・シカゴ」のカメラに、ベンチに座りながら目を閉じる様子が映し出された。さらに8月15日(同16日)のアストロズ戦の8回2死二塁の場面では、ファンの「代走起用しろ」との叫び声にハッとしたかのように代走を告げた。
CBSスポーツによると、ラルーサ監督はファンのアドバイスを聞いたことを否定したというが、結局8月30日(同31日)を最後にチームを離れ、復帰することはなかった。開幕前の2月に装着したペースメーカーの故障により、手術を行ったことが理由とされている。10月3日(同4日)には健康問題を理由に、退任が正式に発表された。
退任に際しての声明文では「受け入ることができないほどの失望だ。結果が(自分が違いを生み出せなかったという)証拠だ。私は仕事をしなかった」と言い訳ひとつせず。辛辣だったファンにも「『トニー、クビ』と歌った時を含めて、私はホワイトソックスのファンに失望したことは1度もない。そして、私は自分の役割を果たすことができず、自分自身に失望している」と文句は言わなかった。ワールシリーズ制覇3度の名将には、あまりにも寂しい去り際だった。
(Full-Count編集部)