大谷の挑戦でエ軍に浸透する二刀流 スカウト部長「我々にとってもボーナス」

エンゼルス・大谷翔平【写真:Getty Images】
エンゼルス・大谷翔平【写真:Getty Images】

18歳の高卒新人イングリッシュ、投手と外野手の二刀流で注目

 今季から契約を結んだ大谷翔平投手に、投打にわたる二刀流挑戦の道を拓いたエンゼルス。大谷は現在、右肘靱帯損傷のために戦列を離れているが、それまでは投手として9試合に先発して4勝1敗&防御率3.10、打者としては34試合出場で打率.289&6本塁打20打点の成績を残し、投打両面でエンゼルスの大きな戦力となっていた。この活躍により、開幕前は二刀流について懐疑的だった周囲の見方は一変。二刀流の試みはメジャーでジワリと裾野を広げそうな気配だ。

 エンゼルスは今年のドラフト5巡目で、ミシガン州デトロイト近郊出身の18歳、ウィリアム・イングリッシュという二刀流選手を指名。米スポーツ専門メディア「ジ・アスレチック」では「エンゼルスによる二刀流の実験は大谷翔平の後にも続く」という特集を組み、エンゼルスとイングリッシュを取り巻く状況について紹介している。

 高校で投打両面で頭角を現したイングリッシュは、身長6フィート4インチ(約193センチ)、195ポンド(約88キロ)という立派な体格。投手としては90マイル台前半(140キロ台後半)の速球と変化球を駆使して防御率1.43と圧倒し、野手としても4本塁打を放つパワーと素晴らしい脚力を披露したという。イングリッシュは二刀流を続けるために、数ある誘いの中から野球の名門でもあるテネシー大に進学しようと考えていたというが、熱心にプロレベルでの二刀流実現を訴えたのが「数少ない二刀流アイドルの1人、オオタニ」にチャンスを与えたエンゼルスだったという。

 記事によれば、エンゼルスでスカウト部長を務めるマット・スワンソン氏は「ドラフトで二刀流を指名することにも、やってみよう、育成してどうなるか見てみよう、と球団が受け入れに前向きになっていると思う」と話し、チーム内に二刀流推進の機運が高まっていることに言及している。また、エンゼルスは二刀流選手を「辛抱強く育成できる」と断言。「若くて運動能力が優れているのであれば、どちらか1つだけを選ばせたくない。投打両面での育成は選手にとっても我々にとってもボーナスだ」と選手の可能性を閉ざさないことが、結果としてチームに利益をもたらすという考え方も紹介した。

 一方のイングリッシュは「次のレベルでも二刀流ができると分かっている。現時点でどちらか片方を選びたくないんだ。入団し、具体的なトレーニングなどを受け、育成を経て、二刀流として出発していく」と話し、前途洋々たる未来に向けて気合十分。6月15日に契約を済ませた直後から、アリゾナ州で開催されているルーキーリーグに参加している。当面は打者出場に重点を置きながら、数年後には「230ポンド(約104キロ)近くまで体重が増やすこと」を目標に置き、体作りに励んでいくという。

 ビリー・エプラーGMは、二刀流育成に向けてどのようなプログラムを組んでいけばいいのか、大谷の挑戦を通じて「少しずつ理解が深まっている」とし、イングリッシュをはじめとする後進の育成にも応用していく考えを明かしている。

 大谷の二刀流挑戦を認め、サポートするエンゼルスだが、プロ入りする時には投打のどちらかを選択しなければならないという球界の慣例を破った選択は、今後も数多くの将来有望な才能にアピールすることになりそうだ。

(Full-Count編集部)

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