野球経験者が社会で重宝されたのは今や昔…“礼儀や忍耐”だけでは欲されぬ現代

競技人口減少が叫ばれる野球の裾野を広げるには…?
競技人口減少が叫ばれる野球の裾野を広げるには…?

多賀少年野球クラブ 「脳サイン野球」で自ら動く選手を育成

 野球人口の減少が叫ばれている中、滋賀・多賀少年野球クラブは年々メンバーが増え、現在は100人近くなっている。チームを率いる辻正人監督は、選手の増減はチームの強さと決して比例しないと話す。競技の裾野を広げるには、野球を「育児の一部」にする必要があると考えている。

 多賀少年野球クラブの練習には、全国各地から指導者が視察に訪れる。辻監督は惜しみなく自身の知識や経験を伝える。最近は、少年野球をはじめとする指導者に向けて話をする機会も増えた。

 今月18日にも、千葉・柏市に新しくオープンした室内練習場「ボールパーク柏の葉」で指導者向けの講習会を行った。その中で、チームの根幹になっている「脳サイン野球」の内容を明かした。指導者がサインを出さず、選手同士で考えて戦術を練る。

 単に指導者がサインを出さない「ノーサイン野球」ではなく、小学校低学年から野球の仕組みを学んでいる選手たちは「脳サイン野球」で脳をフル回転させている。いわば門外不出のとも言える多賀野球の真髄を参加者に伝えたのは、辻監督に明確な理由があったからだ。

「脳サインを野球の当たり前にしていかないといけません。大人の命令で動く子どもを育てる時代ではありません」

 かつて野球経験者が社会で重宝されたのは、野球で培われる習慣や能力が企業のニーズ、いわゆる工場作業員が必要な時代だったからだと考えている。IT化が進む前の時代は、「挨拶ができる」「言われたことを確実にこなせる」「同じことを飽きずに繰り返せる」人材が求められ、野球は社会に出る準備になっていたという。

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