4番・石川の背中を押した“兄の応援歌” 「春の東邦」が選抜歴代最多の通算58勝

東邦・石川瑛貴【写真:小林靖】
東邦・石川瑛貴【写真:小林靖】

東邦は4番・石川の逆転決勝打で、同県ライバル校に並ぶ春通算勝利数「58」

 選抜最多優勝5回を誇る名門が、中京大中京(愛知)に並ぶ選抜歴代最多の58勝目を挙げた。阪神甲子園球場で行われている「第95回記念選抜高校野球大会」は25日、大会6日目を迎え、第2試合で東邦(愛知)が6-3で高松商業(香川)に勝利。エース兼主軸として同校の2019年選抜制覇に貢献した石川昂弥(中日)を兄に持つ石川瑛貴内野手(3年)は、4打数3安打の活躍で打線を牽引した。

 エース左腕対策が見事にはまった。同点で迎えた2回、先頭の石川が左中間二塁打で出塁。次打者の犠打で三塁に進むと、スクイズを仕掛けて先制点を狙ったが、相手捕手の好判断でタッチアウト。しかし、東邦は1点ビハインドの4回に2番・大島善也内野手(3年)、3番・眞鍋麗生内野手(3年)、4番・石川の3者連続長短打で逆転に成功した。

 石川は「1打席目は変化球を打ったので、2打席目は真っすぐで押してきていました。しっかりと振り抜くことができました」と振り返った。メンバー外の左投手を相手に練習を重ね、東邦打線は12安打のうち、1本塁打を含む8本の長打で高松商の大室亮満投手(3年)を攻略。各イニングで点数を重ね、高松商の追い上げをかわした。

 偉大な兄が背中を押した。2019年の全国制覇以来の甲子園出場が兄も気になる様子。いつも試合前に「がんばれよ」とLINEが届いている。さらに石川が打席に立つと、アルプス応援団が兄の応援歌を演奏した。「(応援歌は)聞こえていましたが自分の打席に集中しているので、そんなに意識はしていません。兄に応援歌ができていたことも知らなかった。父に『使えよ』って言われたのでリクエストしました」。

 アルプススタンドから兄へ熱視線を送った4年前を振り返り「自分も憧れて(東邦に)入ってきた」と話す。まずは次の報徳学園(兵庫)戦で、ライバル校・中京大中京を超える春の歴代最多勝利数の更新を狙う。さらには、兄に続く全国制覇を見据える。

(喜岡桜 / Sakura Kioka)

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