脱・勝利至上主義で生まれる指導の“放棄” 筒香兄が警鐘…子どもは「勝ちを目指すべき」
筒香嘉智の兄・裕史さん「勝ちを目指すことは忘れてほしくない」
学童野球では近年、勝利至上主義からの脱却が叫ばれているが、誤解を招いている可能性もあるという。レンジャーズ傘下マイナーの筒香嘉智外野手が故郷の和歌山県橋本市に設立した少年硬式野球チーム「和歌山橋本Atta boys(アラボーイズ)」で代表を務める兄・裕史さんは「少し違う流れになってきている」と、危機感を抱いている。
勝つことだけを目的とし、子どもたちに向け罵声や暴言を放つ指導者。野球界には残念ながらまだ存在する。DeNA時代に筒香は「試合に負けた中でも学びや成長があれば、それを良しとすることが大切なんじゃないか」と、警鐘を鳴らしてきた。
弟の思いに共感し、未来ある子どもたちの成長を願う裕史さんは「まだ、支配的な指導者は数多く存在しますが、少しずつ変わってきた」と語る。ただ「脱・勝利至上主義を履き違えている部分もある」と指摘する。
スポーツに挑戦する目的は様々だろう。プロを目指す、体を鍛える、人間教育――。子どもたちは何のために練習やトレーニングを行うのか。「楽しくやろう」「厳しさはいらない」とし、指導を“放棄”する指導者も見られるという。
「勝ちを目指すことは忘れてほしくない。そこまでの過程は必ず必要になってきます。失敗から学び、努力して成功体験を得る。勝つために何が必要なのかを考えることは大事です。脱・勝利至上主義は大人、指導者の問題だと思っています」
「勝利=悪」ではない。「目の前の試合に『絶対、勝つぞ!』という思いで子どもたちにはプレーしてほしい。勝利至上主義にも“補足”は必要です」。今月本格的にスタートした「和歌山橋本Atta boys」は野球の楽しさ、基礎体力の向上を重視し、勝利も目指していく。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)
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