元プロが伝えたい「叱る」重要性 「怒る」とは別物…時代の変化で問われる指導者の質
元阪神の今成亮太さん「保護者の目を気にして言えない指導者もいる」
子どもたちのモチベーションを下げない“声かけ”は指導者の腕の見せ所だろう。「怒る」と「叱る」は別物で、感情をぶつけても成長にはつながらない。ただ、注意できない指導者が増えているのも事実。兵庫・西宮市内で子ども向けの運動教室「Kids Growth Theater」を開校した、元阪神の今成亮太さんは「指導者は嫌われることを恐れてはいけない。何も言わないのは罪」と語る。
過去の野球界では怒声罵声が普通だった。しかし、昨今は野球人口が減少していることもあり、指導者の「質」が問われている。押し付ける指導や、目的意識のない過度な練習などを見直すチームが増えてきている。
今成さんは「怒ることや暴力などはもってのほか。感情のまま行動する指導者は『指導ができません』と言っているのと同じ。変化できる指導者が今後は生き残っていく」と指摘する。
ただ、“叱る”ことができない指導には疑問を抱いている。例えば、道具を雑に扱う、挨拶ができない、相手や審判に対しリスペクトに欠ける態度を取るなど。精神的に未熟な子どもたちが、人間性の部分で間違った方向に進む光景はよく見られる。
「相手を傷つけたり、いじめにつながったりする言動があれば厳しく言います。保護者の目を気にしてはっきりと言えない指導者もいる。これは僕の考えなので勘違いしてほしくないのですが、自分の子どもが本当に危険、ダメな行動をとれば怒鳴りつけてもらってもいい。そこに愛情があれば、こちらが感謝するぐらいです。本来は親が教育しないといけない部分だと思っていますから」
野球を通じて、技術だけではなく、社会で通じる人間に成長していほしい。今成さんが大事にしているのは「子どもたちの思考を作ってあげること」。解説者として活躍する傍ら、少年少女の育成に力を注いでいく。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)
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