球速130キロになぜ打者苦戦? 燕OBが秘訣証言…石川雅規にある“他投手との違い”
身長167cm、43歳の石川雅規を球団OBの飯田哲也氏が解説
現役最年長、43歳のヤクルト・石川雅規投手が今季も元気だ。5月10日の阪神戦で白星を挙げ、1年目の2002年から22年連続勝利。通算350勝の米田哲也(阪急、阪神、近鉄)に並ぶプロ野球記録となった。現役時代に盗塁王に輝き、ヤクルトで同僚だった評論家の飯田哲也氏は「ずっと勝ち続けることは、なかなかできることではありません。素晴らしい」と絶賛。石川の“長寿”の秘訣を証言した。(記録は5月18日時点)
左腕の石川は、身長167センチで体格には恵まれていない。青学大で活躍して2001年ドラフト自由獲得枠でヤクルト入りも、ボール自体は速くはなかった。現在の真っ直ぐも130キロ前後。それでも勝てるのはなぜなのか。飯田氏は「コントロールが一番。彼の生命線」と断言する。実際、23年シーズン初勝利も5回1/3を投げて四球はゼロだった。
石川の制球の良さは、他の投手とは意識の違いが大きいと見る。「まあ、いいやという投球がないですね。粘り強い。カウントが苦しくなった時に、普通だったらストライクを取りにいっちゃうんです。多少甘くなっても。石川には、それがない。そういう時でも自分のコントロールを信じることができます」。要所で細心の注意を払う。だからこそ精度が違うのだ。
多彩な球種も石川の投球を支えている。代名詞のシンカーのみならず、カーブ、スライダー、カットボール、シュート。おまけに大ベテランは“味付け”として、同じフォームで同じボールの軌道から変化させてくる。「バッター的には狙い球が絞りづらい。狙ったボールじゃないのに打っちゃった、バットに当たっちゃった感じになるんです」。
130キロのストレートも、むしろ武器になっているという。「バッターって、球がそんなに速くないと、いつでもいける感覚で待ってしまう。それが手元で微妙にシュートしたり、スライドしたり、落ちたりするので打たされちゃう。それが彼の特長。何で打てないんだろうと思わせてしまうピッチャーなのです」。幻惑術てんこ盛りの“石川ワールド”に、わかっていても引きずり込まれる打者心理を説明する。