「きっと後悔する」 “ナックル姫”がメジャー挑戦へ…31歳、進退も見据えた決断の裏側

米国挑戦を決めたエイジェック女子野球・吉田えり【写真:荒川祐史】
米国挑戦を決めたエイジェック女子野球・吉田えり【写真:荒川祐史】

旋風から15年…憧れの右腕と同じ舞台へ決意と覚悟の渡米

“ナックル姫”と呼ばれセンセーションを巻き起こしてから15年。エイジェック女子硬式野球部の吉田えり投手は31歳を迎え、大きな決断を下した。「メジャーに挑戦したい」。夢物語のようにも聞こえるが、これまでも数多くの壁を打ち破ってきた吉田が、愛刀のナックルボールを携え、6月上旬に渡米することになった。紆余曲折を経ての今回のチャレンジ。現役の“その先”を見据えた決意と覚悟の裏側に迫る。

「年齢的に今後、野球を続けるのかどうか……考える時間が増えました。自分自身がどうしたらいいのかわからなかったんです。でも、怪我を重ねても野球を辞めることができなかった。まだ本当はナックルボールに挑戦したいんだっていうのに気づいて。日本ではなくて『もう一度海外でやりたい』ってなりました」

 2008年11月、当時高校2年生、16歳の吉田は関西独立リーグのドラフト会議で神戸9クルーズから7巡目で指名され、日本プロ野球史上初の女性プレーヤーとなった。その後は日本や米国の独立リーグを転戦してきたが、なかなか好結果を残せず、2017年から女子野球エイジェックに投手兼コーチとして在籍し、現在に至る。故障もあって投げられない時期も経験した。それでも、吉田はあきらめきれなかった。そして日本ではなく、どうしても米国でプレーしたい理由があった。

「やっぱり私がナックルボールに出会えたのは、(ティム・)ウェイクフィールド選手の存在が大きくて。(彼と)同じマウンドに立ちたいなっていう思いが強かったです」

故障続きで葛藤の日々…昨年訪れた転機との“出会い”

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