NPBで40年戦い続けた“名参謀”が挑む高校野球 心に刻む恩師の言葉「アマに学べ」
森脇浩司氏は4月、福岡・沖学園のシニアディレクターに就任した
恩師の言葉を胸に……。元オリックス監督で、野球評論家の森脇浩司氏は2023年4月から福岡・沖学園のシニアディレクターを務めている。2022年シーズン限りでロッテのヘッド兼内野守備コーチを退任し、自宅のある福岡に戻ったところ「以前からご縁があった沖学園の沖(隆邦)理事長から今回のお話をいただいた」という。もとより、アマチュア指導には強い興味を持っていたそうだが、これには元ダイエー監督でもある根本陸夫氏の言葉が大きく関係していた。
森脇氏は兵庫・社高校から1978年ドラフト2位で近鉄に入団した。内野手として活躍したが、怪我もあって、その後、広島、さらに南海へのトレードも経験。ダイエー時代の1996年で現役を引退し、ダイエー・ソフトバンクでコーチ、2軍監督、1軍ヘッドなどを歴任した。王貞治監督が胃がん手術のために休養した2006年シーズンには監督代行を務めたことでも知られる。
ソフトバンク退団後、巨人2軍コーチを経て、2012年にオリックス1軍チーフコーチ、2013年に監督に就任し、辣腕を振るった。卓越した指導能力は引っ張りだこで2017、2018年は中日コーチ、2021年から2022年まではダイエー時代の教え子・井口資仁監督が率いるロッテでコーチ。井口監督退任とともにロッテを去り、また新たなステージでの野球界への貢献を誓っている。そんな中で、沖学園に“新加入”したわけだ。
中日退団後の2019年にも福岡工大の特別コーチに就任したように、森脇氏はアマチュア野球への関わりも大切にしている。だからこそ、今回は沖学園でお世話になろうと決断したが、そこで出てくるのが根本氏だ。「私の人生の師匠の一人であります根本さんの口癖が『プロの指導者こそ、アマチュアに学ぶんだ、アマチュアから学べ』。私がプロで指導者を始める時もその言葉をいただいたし、会うたびにそう言われました。その言葉が私の頭の中にはこびりついているんです」。