大谷翔平3冠王の障壁は米球界の“呪い”? トリプルスリーも現実味…スターの悩みとは

レンジャーズ戦に出場したエンゼルス・大谷翔平【写真:ロイター】
レンジャーズ戦に出場したエンゼルス・大谷翔平【写真:ロイター】

カブレラ以来11年ぶり打撃3冠王に現実味が帯びてきたが…

■エンゼルス 5ー3 レンジャーズ(日本時間16日・アーリントン)

 エンゼルス・大谷翔平投手は15日(日本時間16日)、敵地・レンジャーズ戦で1か月ぶりの6勝目を挙げた。「2番・投手」で投打同時出場し、6回6安打2失点と好投。バットでは8回に両リーグトップに並ぶ中越え22号2ランを放ち、リーグ5位タイの打率.301に上げた。54打点はリーグ4位で、打撃主要3部門はリーグトップ5入り。2012年タイガースのミゲル・カブレラ以来11年ぶりの3冠王が視野に入ってきた。

 日本選手による打撃タイトルの獲得は2001、2004年のマリナーズ・イチローの首位打者のみで、本塁打王と打点王はまだいない。メジャーでも前人未到の「二刀流3冠王」への挑戦となるが、果たして障壁は? まずはホームランダービーだ。リーグ独走の22本塁打を放ち、豪快なフリー打撃は誰もが目を奪われるところ。日本選手として初出場した2021年以来の出場資格は十分で、MLBとしては出場要請をするだろう。だが、メジャーにはHRダービーの“呪い”がある。

 本塁打競争は第1、2ラウンドは3分、決勝は2分の時間制。スイング数の制限はなく、時間内にどれだけ柵越えを打てるかを争う。出場選手は本塁打狙いの強引なスイングをするからだろうか。米球界には後半戦に成績を落とすジンクスがある。大谷自身は否定していたものの、キング争いをしていた2021年は後半戦71試合で13本塁打(前半戦84試合で33本塁打)と伸び悩み、日本人初の本塁打王はならなかった。

 大谷はオールスター戦(7月11日、シアトル)のファン投票の中間結果発表でリーグトップ。シアトル行きが確実視されているが、スーパースターならではの“悩み”もある。昨年7月19日(同20日)のオールスター戦(ロサンゼルス)後。後半戦は22日(同23日)の敵地・ブレーブス戦からで、20日(同21日)は完全休養日になるかとみられていたが、「明日は仕事が入っているので」とポツリ。取材を受けるなどしていたという。今年のオールスター戦後は7月12、13日(同13、14日)と試合の予定がない。後半戦へリフレッシュ、リカバリーできるかも重要なポイントとなりそうだ。

 チームは地区首位を走るレンジャーズとの4連戦で3勝1敗と勝ち越した。地区首位と4.5ゲーム差、ワイルドカード進出圏へも1.0ゲーム差と好位置につけている。大谷は「みんな気持ち入ってますし、ベンチの熱気もここ最近では一番じゃないかなと思うので。これが続くように1試合1試合頑張りたいなと思います」と話していたが、好調なチームは何より勝利を求める大谷のモチベーションとなるはずだ。

 打者では50本塁打、123打点、22盗塁ペース。トリプルスリーも不可能ではない。一方、投手では13勝、239奪三振ペースと投打でとんでもない成績を残しそうだ。まずはコンディション万全でタイトル争いをする姿を期待したい。

(小谷真弥 / Masaya Kotani)

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