球宴ファン投票で起きた「異常事態」 Bクラス球団がほぼ独占…45年前の“悲劇”
ファン投票9部門中8部門でトップとなった1978年日本ハム
7月19日、20日に開催される「マイナビオールスターゲーム2023」のファン投票が、18日に締め切られる。16日の中間発表では、阪神の梅野隆太郎捕手が捕手部門トップに浮上。これで、ファン投票で選出される11人中10人に阪神の選手名が並ぶという“ほぼ独占状態”となっている。
では、過去にファン投票において全部門を同一球団が占めたというケースはあるのだろうか。さすがに「オール1球団」の奇跡はないものの、それに近い状況になった年はある。例えば近年では2003年の阪神が11枠中9人が当選し、これが現行ルールでは最多。2014年の広島も11人中8人を占めている。
2003年の阪神は18年ぶり優勝へ突き進んでおり、2014年の広島もシーズン終盤まで優勝争いに絡むなど、久々のVへの気運が高まっていた。チームの好不調が投票するファンの心理を左右するのは、当然だろう。
さらに前を振り返るとどうなのか。9ポジションで1人ずつ選出されていた時代だと、1973年の巨人が9人中8人を占めている。この年は、長嶋茂雄、王貞治の「ON砲」を中心に9年連続日本一を達成したシーズン。人気・実力ともに絶大な巨人だけに納得の結果ともいえるだろう。ちなみに、巨人以外の1選手は阪神・田淵幸一捕手だった。
しかし、「?」という結果になったのは1978年だ。73年巨人と同様に9人中8人を占めたのは日本ハムの選手たち(残り1人は阪急・福本豊外野手)。しかし、当時の日本ハムは北海道に根付いた今とは違い、決して人気チームであったわけでもなく成績も5位、6位が定位置。実は、ファンクラブの子ども会員にハガキを送付するなど球団側から投票を呼びかけたことで、思わぬ高得票を得たのだ。“営業努力”が「公平ではない」とかえって批判を呼び、2選手が出場を取りやめる事態になった。
それに発奮したかはわからないが、この年の日本ハムは前期は3位で後期は4位。130試合トータルでは全体の3位だった。時は飛んで、2012年の球宴ではDHを含む12部門で8選手がファンから選出され、ペナントレースでも優勝と人気、実力を兼ね備えたチームになった。球宴本番だけでなく投票にもドラマあり。果たして、今年はどんな結果となるだろうか。
(Full-Count編集部)