正確な送球を導くボールの握り方 中学硬式監督が実演…意識したい平仮名の「つ」

城東ボーイズ・深田健成監督(写真は東京国際大時代)【写真:本人提供】
城東ボーイズ・深田健成監督(写真は東京国際大時代)【写真:本人提供】

「つ」の中心に人差し指と中指を置く

 東京・江東区の中学硬式野球「城東ボーイズ」で監督を務める深田健成さんは「守備のスペシャリスト」として、所属する株式会社GXAで野球教室を開催。インスタグラムにアップされる守備ドリルはフォロワーが1万人を超えた。重視するのはキャッチボール。深田さんは今回、ボールの握り方を解説。野球育成サイト「First-Pitch」のインスタグラムで実演してくれた。

 内野手は難しい打球を捕球できても、スローイングが安定しなければアウトにできず、悪送球になれば進塁を許してしまうケースもある。安定させるには相手が捕りやすい場所に、きれいな回転のボールを投げることが必要になる。キャッチボールでは、右利きならばボールの縫い目を自分から見て平仮名の「つ」にあわせ、そこに人差し指と中指をかける「フォーシーム」の握りで常に投げてほしいと深田さんは説く。

「縫い目をフォーシームに合わせて投げないとどうしてもボールが変化しやすくなります。キャッチボールでは最初はボールを見てもいいので、『つ』の握りでしっかり持って相手に返しましょう。慣れてきたらボールを見ないで握り変えができるように。家でもできるので、ボールを上に投げてみて、グラブで捕ってボールを投げる動作の中で握り変えができるように練習してみてください」

 投げる時は、右投げなら軸足となる右足の側面を自分が投げたい方向にしっかりと向けること。投手はプレート板に軸足を合わせてから投げることができるが、野手は捕球する動きの中で送球しないといけないため、軸足の側面が左を向けばボールも左にそれるし、右を向けば右にそれる。

軸足の側面を投げる方へ向ける

 深田さんは、野球教室の中で自分から見て“逆Tの字”をラインで描き、軸足を横線に、踏み出す足を縦線に合わせて投げる練習を繰り返し行わせ、両足の置き場所の意識付けを図っている。足元に目印を描いただけで送球が安定し始め、10メートルほど先に置いた集球ネットに次々とボールが入っていくようになる。

「右足の側面を投げる方へ向けることができたら、左足の位置も自然と決まります。ステップを踏んでキャッチボールを行うのであれば、左足の側面に右足の側面をぶつける意識を持ってください。右足の動きによって左足が投げたい方向に向いてくれます」

 体が小さい頃は、遠くへ速いボールを投げようとして腕の力に頼りがち。そのため、踏み出す足が地面につく時には、ボールを持った方の手首が外側を向く傾向にあるという。これでは手首のスナップが効かず、回転のかかったボールは投げられない。

「野球を始めたてのころは、ボールを投げる時、みんな腕に意識がいってしまい、上腕二頭筋が筋肉痛になる子が多いです。これだとボールを使ってずっと筋トレをしているようなもので怪我しやすい。胸が筋肉痛になってほしいんですよ。もっと大きな筋肉を使ってボールを投げる意識を持ってほしいですね」

 投手でも野手でも、いい投げ方をすればいいボールを投げられ、アウトを取る確率も上がる。怪我も未然に防ぐことができる。深田さんはまず「投げる」という動作を通じて、野球を好きになっていってほしいと願っている。

〇深田健成(ふかだ・けんせい)1993年(平5)12月28日、大分県生まれの29歳。明豊中から明豊高に進み、2011年夏の甲子園に出場。3回戦の関西(岡山)戦で二塁手として大会史上7度目のトリプルプレーを完成。東京国際大では4年時に主将を務めた。卒業後は精密機械のルート営業をしながら軟式野球部に所属し、2019年株式会社GXA入社。23年4月より中学硬式野球の城東ボーイズ監督を務める。身長1メートル65センチ、体重60キロ

【実際の映像】平仮名の「つ」がコツ “守備のスペシャリスト”が伝授する送球時のボールの握り方

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