ヤ軍の大谷翔平獲得は「不可能だ」 番記者が指摘…意外と厳しい“お財布事情”

エンゼルス・大谷翔平【写真:ロイター】
エンゼルス・大谷翔平【写真:ロイター】

MLB公式サイトのヤンキース番ホック記者「レンタル選手のために有望株を差し出すか」

 エンゼルス・大谷翔平投手のヤンキースへの電撃移籍は実現するのか。8月1日(日本時間2日)のトレード期限を前に、二刀流の去就が注目を集め、一部ではヤンキースが移籍先の最有力との報道も出ていた。だが、MLB公式サイトのヤンキース番、ブライアン・ホック記者は首をかしげる。

「実現したら素晴らしいことだ。ハル・スタインブレナー(オーナー)は『ニューヨークにはスターが必要だ』と数週間前に話していた。今の球界でオオタニを超えるスター選手はいない。でも、オオタニ1人を獲得したところで、このチームが優勝できるかは疑問だ。彼一人を獲得すればワールドシリーズにふさわしいチームになれるのか? それは分からない」

 ヤンキースにトレード移籍したとしても莫大な対価が求められる。若手有望株を何人も放出することになり、その上、数か月後にはフリーエージェント(FA)となる。

「レンタル選手のために有望株を差し出すかも分からない。でも、オオタニのような一生に一度しか会えないような才能の持ち主を獲得できるチャンスがあって、2017年に獲得を目指した選手であれば、少なくても検討はしなくてはいけないね」

 ヤンキース・大谷が実現したとして、果たして起用法はどうなるか。指名打者には通算389本塁打のジャンカルロ・スタントン。右足親指の靭帯を断裂して負傷者リスト入りしているアーロン・ジャッジも復帰後はDHとして使われることも見込まれる。だが、ここは大谷の二刀流に合わせた起用法になると断言する。

「DHとして起用し、5日おきに登板させるだろう。外野手としては起用しないだろうね。ジャッジが怪我をしていて、ホームランの打てる打者を必要としているから、エンゼルスでプレーしていた時と同じように起用して、素晴らしい活躍を期待する」

MLB公式のブライアン・ホック記者【写真:小谷真弥】
MLB公式のブライアン・ホック記者【写真:小谷真弥】

今オフの1000億円級の大争奪戦「それも獲得に躊躇する要因の1つだ」

 今オフにFAとなる大谷は、一部で7億ドル(約1000億円)の争奪戦となることが予想されている。すでにヤンキースにはジャッジ、スタントンにエースのゲリット・コールら高額年俸選手がズラリ。お財布事情は決して良いとは言えない。

「オオタニとヤンキースが長期契約を結んだ場合、5、6億ドル(約691~830億円)だと思う。それも獲得に躊躇する要因の1つだ。ヤンキースは大型契約を結んでいる選手がいる。ジャッジと3億6000万ドル(約497億円)、数年前にコールと3億2400万ドル(約448億円)で契約を結んだ。オオタニがエンゼルスに移籍したとき、スタントンをトレードで獲得して、大型契約を引き継いだ」

「ヤンキースはいくつもの大型契約を抱えているし、予算の上限がある。コール、ジャッジ、スタントンの契約の上に、もう5、6億ドルは不可能だと思う。先日ユニホームの袖につけるパッチ広告で年間2500万ドル(約35億円)の契約を結んだから、オオタニの契約に充てることはできるかもしれないけど、それでも現在のヤンキースには大型契約が多すぎるのではないかと思う」

 かつて松井秀喜ら日本人スターが多く在籍した。イチローがヤンキースへやってきたのは2012年7月23日のトレードだった。「マツイやイチローもビッグスターだったけど、ニューヨークという街に馴染んでいた。もし、オオタニがヤンキースに移籍したら、毎試合がお祭りになるだろう。投打問わず、毎晩ニューヨークで一番の話題をかっさらうだろうね」と思いを巡らせた。いずれにしてもヤンキース・大谷の誕生には、数々の“難題”を解決する必要がありそうだ。

(小谷真弥 / Masaya Kotani)

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