Aクラス争いは「現状では厳しい」 専門家が指摘…ヤクルトが抱える“ジレンマ”

ヤクルト・高津臣吾監督【写真:小林靖】
ヤクルト・高津臣吾監督【写真:小林靖】

ヤクルトは手痛いミスで連勝が4でストップし借金「11」

■阪神 4ー2 ヤクルト(23日・神宮)

 ヤクルトは23日に行われた阪神戦(神宮)に2-4で敗れ、連勝は4でストップした。同点の8回にはホセ・オスナ内野手が一ゴロをファンブルし決勝点を与えるなど、細かなミスが響いた。昨季の覇者が3位・DeNAまで7ゲーム差とAクラス入りも危うい状況だ。野球評論家の新井宏昌氏は「神宮(の地の利)を生かせる戦力が整わず、現状では上位争いは厳しい」と分析する。

 流れをつかめそうで、つかめない。初回は並木秀尊外野手、武岡龍世内野手の連打で無死一、三塁の好機を作るも、得点はドミンゴ・サンタナ外野手の二ゴロ併殺間で挙げた1点のみ。同点の7回には1死二、三塁から代打・渡邉諒の一ゴロをオスナがボールを握り損ねる間に決勝点を献上した。

 痛恨のミスを犯したオスナは9回にも二塁手・武岡の送球を捕球できず、好プレーを安打にするなど細かなミスが目立った。チームは主力だった塩見泰隆外野手、山田哲人内野手がコンディション不良で2軍調整。この日も、前日の守備でフェンスに激突した山崎がベンチ外になるなどベストメンバーには程遠い状況だ。

 85試合を終え借金「11」と苦しい状況が続くチームに新井氏は「主力の不在、不振もあり今年は得点パターンが決まらない。並木など若い選手にとってはチャンスだが、俊足を生かした同じような選手が多い。狭い神宮球場を生かした攻撃ができていない」と指摘する。

ヤクルト・村上宗隆【写真:小林靖】
ヤクルト・村上宗隆【写真:小林靖】

村上の完全復活は「もう少し」と新井氏

 試合を決める一打に期待できるのは現状、サンタナ、オスナ、そして村上宗隆内野手の3人のみ。昨季の3冠王・村上は3、4月は打率.157、2本塁打12打点と大不振に陥ったが、5月は打率.270、7本塁打10打点、6月は打率.264、3本塁打10打点、7月もここまで15試合で打率.281、5本塁打14打点と復調の気配を見せている。

 新井氏は村上の完全復活に向け「あと、もう少し」と見ている。昨季は甘いボールを逃さず仕留めて打率.318を残したが、「今年はコンタクト率が悪いのが気になるところ」と語る。鋭いスイングは戻っているものの、バットの芯で捉える確率が昨季に比べ減少しているという。

「開幕から大不振だったが本塁打、打点はリーグ2位の位置まで上げてきている。ポイントは凡打の内容。芯で捉える打撃が1試合で2、3回と増えてくればもっと上がりタイトルも見えてくる」

 25日からは広島、DeNAと上位2チームとの6連戦。リーグ覇者の意地を見せることができるか、Aクラス入りに向け正念場を迎える。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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