優勝監督が明かすNPBジュニア選考 合否決める「置きティー」…技術以外のアピールも

2021年まで中日ドラゴンズJr.の監督を務めた湊川誠隆さん(中央)【写真:川村虎大】
2021年まで中日ドラゴンズJr.の監督を務めた湊川誠隆さん(中央)【写真:川村虎大】

中日ドラゴンズJr.の元監督・湊川誠隆氏 本番の強さと元気も重視

 狭き門を通過するポイントは「置きティー」にもあった。「NPB12球団ジュニアトーナメント」で監督として中日ドラゴンズJr.を2度の優勝に導いた元中日の湊川誠隆氏が、13日に開催された野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」のオンラインイベントで選手の選考基準を明かした。湊川氏は、選手選考において守備力、特にキャッチボールに着目していたというが、打撃についても重視していた点を参加者に伝えた。

 NPB12球団ジュニアトーナメントはプロへの登竜門と言われる小学5、6年生を対象にした大会で、各球団が数百人の応募の中から16人を選んでいる。今年の大会に関しては7月末から8月上旬にかけて選考会を実施するチームが多い。湊川氏は2021年まで6年間、中日ドラゴンズJr.の監督を務め、優勝2回、準優勝1回の好成績を残した。選手選考において、打撃ではスタンドティーを使った打撃が合否を左右したという。

「ドラゴンズJr.では、置きティーでどれだけ遠くに飛ばせるかを見ていました。スイング軌道も大事です。軌道がホームベースの上を通過しているかをチェックし、チーム結成後は椅子に座った置きティーを打撃メニューに入れていました」

 2次選考では実戦の中で選手の力を見極めていた。選手は限られた打席で結果が求められる。湊川氏は「選手や保護者の中からは『本当は、もっと打つ力がある』、『選考が別の日ならよかったのに』という声が聞こえてくる時があります。その時に活躍できなければ、試合も同じです。選考当日に力を出せるかが大事です」と話す。もう1つ重要なのが「元気」。湊川氏は選手が集まってウォーミングアップする時間に、遠くから様子を見ていたという。

「積極的に動いている選手、元気な選手をチェックします。200人、300人と集まると遠慮する選手もいますが、意識を高く持っていないと大舞台で活躍できません。選考に迷った時は元気のある選手と率先して動ける選手を選びます」

 選考を突破できる選手は、ごくわずかしかいない。悔しい思いをする選手が大半。ただ、湊川氏は「チャレンジする気持ちや、自分より上手い選手がいると知る機会が重要です。ここで野球が終わるわけではないので、選ばれても選ばれなくても成長に大切な場所だと思っています」と挑戦する意義を語った。

(間淳 / Jun Aida)

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