交代の大谷翔平に「休みが必要では?」 POへ欠かせぬ大黒柱…エ軍が抱えるジレンマ

ブルージェイズ戦に出場したエンゼルス・大谷翔平【写真:Getty Images】
ブルージェイズ戦に出場したエンゼルス・大谷翔平【写真:Getty Images】

大谷は「両ふくらはぎのけいれん」で途中交代、トロントには「熱波警報」が出ていた

■ブルージェイズ 4ー1 エンゼルス(日本時間29日・トロント)

 エンゼルスの大谷翔平投手は28日(日本時間29日)、敵地・ブルージェイズ戦に「2番・指名打者」で先発出場し、初回に2試合連続となる39号ソロを放った。しかし、9回の絶好機で途中交代。チームの連勝は4でストップした。試合後、フィル・ネビン監督は交代理由について、「両ふくらはぎの痙攣(けいれん)」と明らかにした。

 大谷に異変が生じたのは8回先頭で迎えた打席だった。左腕メイザのシンカーをセンター返しした打球は、二塁ベース寄りに守っていた遊撃・ビシェットのグラブに。足の速い二刀流なら際どいタイミングになるかと思われたが、一塁ベース手前でスピードを緩めていた。大逆転の望みをつないだ9回1死満塁だったが、打席に姿はなし。絶好機での途中交代に敵地は騒然。一部ではブーイングも起きた。

 試合後の静まり返ったロッカールーム。大谷はすでに治療を受けたのだろうか。紺色の半袖、短パン姿で現れた。少し左足を引きずっているようにも見えた。その直前に行われた囲み取材で、ネビン監督は「今の段階ではただの『けいれん』だ。(負傷者リスト入りは)我々は考えていない」と説明していたが、日米メディアの“ザワザワ”は収まらない。チームも逆転負けと後味の悪すぎる一日となった。

 試合前から何かがおかしかった。試合前の敵地ロジャースセンターは屋根が閉じた状態。空調の効いた中で練習が行われたが、試合前にルーフトップがオープンに。試合開始時は気温27度だったものの、分厚い雲に覆われて湿度80%。トロントには「熱波警報」が出ていた。

敵右腕ガウスマン「間違いなく蒸し暑い夜だった」

 記者席に座っているだけでも額に汗をかく、日本の夏のような環境。ブルージェイズ先発のガウスマンは「太陽は上がってなかったけど、湿気がすごかった。とても変な感じがした。初回から汗びっしょり。間違いなく蒸し暑い夜だった」と証言する。この環境が、前日から初完封9勝目→自身初の3打席連発とフル回転を見せてきた二刀流の異変につながったのは間違いないだろう。

 チームは8月9日(同10日)まで大型連戦の真っ只中。しかも蒸し暑いアトランタでの3連戦や、日差しが強いアナハイムでのデーゲームもある。試合前に「ショウヘイに休みが必要なのでは?」と問われたネビン監督は「大丈夫だ。疲労は溜まっていないし、たくさん睡眠を取る。問題ない。彼も『100%。準備はできている』と言っていた。準備万端だ」と語っていたが……。

 主砲トラウトらが戦線離脱中で、仮に大谷を欠いた打線となれば大幅に戦力ダウン。しかし強行出場を続けて戦線離脱となっては元も子もない。悲願のポストシーズンを目指すエンゼルスが、大きなジレンマを抱えている。

(小谷真弥 / Masaya Kotani)

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