高校を辞めた球児に再チャンスを 「野球はざっくり」…元燕戦士が徹底する人間教育

GXAスカイホークスの副島孔太監督【写真:片倉尚文】
GXAスカイホークスの副島孔太監督【写真:片倉尚文】

野球クラブ「GXAスカイホークス」発足時から指導する副島監督

 第105回全国高野球選手権大会の地方大会が大詰めを迎えている。選手たちは甲子園を出場を目指して懸命にプレーを続けているが、中には高校を途中で辞めてその舞台に立てない球児もいる。そうした選手たちの受け皿となっているのが、神奈川・大和市を拠点に活動する硬式野球クラブ「GXAスカイホークス」だ。チームを率いるのはかつてヤクルト、オリックスで活躍した副島孔太さん。選手に寄り添いつつ、時には厳しく指導している。

 練習拠点の大和スタジアムに、10代の高校生や大学生、社会人ら幅広い年齢層の選手が揃う。「GXAスカイホークス」は部員約30人の硬式野球クラブ。その約半分が高校生だ。様々な事情で高校を辞めた選手たちが白球を追う。副島監督は「野球の技術指導はざっくりです。(指導を)吸収して自分のものにできる人間性を高めてあげたい。1度やめている子たちがほとんどなので、やめないことが大事……やめないことが大事です」と繰り返す。

 チームが発足した2014年から率いる。日本野球連盟(JABA)に所属していないため公式戦には出場できない。実戦の場はオープン戦になり、その中で、選手を大学や独立リーグに送り出すのが主な目的になる。

 野球だけではない。日本航空高校の通信制課程と提携。午前に練習を終えると、午後は学習支援センターで週3回、選手は授業を受ける。寮も完備されており、高校卒業を目指せる環境が整っている。

「チームとしての目標がないので個人の目標を新たに持てるようにやっています」と副島監督。選手に寄り添いつつも、時には厳しく指導する。「気分が先に出てしまうことも少なくない。人任せにならないように、厳しく言う時もあります。高校生には逐一注意しますね。次のカテゴリーでもやり続けてほしいので」と実感を込める。

打撃投手を務める副島監督【写真:片倉尚文】
打撃投手を務める副島監督【写真:片倉尚文】

「自分よりチームを優先してほしい」

 オープン戦の相手は主に大学生だ。「このチームとやりたくないと思われないように、相手チームにまたやってほしいと思われるようにプレーしてほしい」と願いながら指導する。

 そのために重要視しているのが人間性を育むこと。全力疾走を怠るなどした場合は厳しい言葉を投げかけることもある。それもすべては選手のためだ。

「スカウトさんが来た時に自信を持って推薦できるような選手であってほしい。最初に聞かれるのは全力疾走とか、そういことなので」と言う。さらに「目の前のことを一生懸命やって、それを邪魔しない、邪魔させない。『自分よりチームを優先してほしい』と選手に言っています」と続けた。

 選手は育ちつつある。神奈川県の高校を中退してスカイホークス入りした左腕・渡邉一生投手は2021年のドラフト候補にあがり、現在は仙台大で腕を磨く。現チームには高校2年生のスラッガーが在籍。「木製バットでバックスクリーンに放り込む。高校でプレーしていたら騒がれていたでしょうね」と言う。

 人間性を高め、次のカテゴリーで戦える選手を育て上げる。副島監督は使命感を持って選手たちと向き合っている。

(片倉尚文 / Naofumi Katakura)

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