なぜバッグを揃えて並べるのか 復活した社会人の強豪…全世代に共通する“勝つヒント”

社会人野球・パナソニックで総監督を務める中本浩氏【写真:羽鳥慶太】
社会人野球・パナソニックで総監督を務める中本浩氏【写真:羽鳥慶太】

パナソニックの中本浩総監督は、生駒ボーイズの指導にも携わる

 社会人野球の強豪・パナソニックで総監督を務める中本浩氏は、1992年バルセロナ五輪で日本代表として銅メダルを獲得した。さらに生駒ボーイズの顧問として、少年野球に長く関わっているという顔もある。子どもたちへの指導で力を入れているのが礼儀作法や挨拶、道徳を重んじること。その理由を明快に説明してくれた。

 生駒ボーイズの方針について中本氏は「厳しいイメージもあると思いますよ。その上で覚悟を持って、真剣にやりたい子が来ていると思います。うちは勧誘もしませんし」と口にする。1学年は20人規模で、全国大会の常連だ。

 プレーの面では、先を見た指導を心掛けているという。「例えば、打撃でいえばしっかり振れるようにと考えています。中学校で打てるようにじゃなく、高校や大学に行った時に通用するプレーを身につけてほしい」という。

 ただ、その前にあるのが礼儀作法だ。「バッグを揃えて並べなさいとかは厳しく言いますね」。これにはハッキリした理由がある。

「立て直すには礼儀からきちっとしないと」

「野球はやっぱり、一致団結してやらないといけないスポーツだからです。普段から意識させておいた方が、いざ何かを守ろうとしたときにバチッと行くのかなと思いますね」

 何も少年野球に限ったことではない。総監督を務める名門・パナソニックでも同じだという。昨夏は都市対抗野球本戦への出場を逃した。そんな時に亜大の前監督、生田勉氏に「これでは勝てないよ」とハッキリ言われたのだという。

 他の社会人チームや、東京六大学や東都大学リーグのチームを回り、何が違うのか探った。そこで出てきた答えが「一体感」だった。「立て直すには礼儀からきちっとしないとダメだと。子どもが見た時、カッコいいなと思うようにしたい」。今夏、2年ぶりに本大会へ出場したパナソニックは1回戦を突破し、2回戦でJR東日本に3-4で惜敗。勝つためのヒントは、プレー以外の部分にもある。

(羽鳥慶太 / Keita Hatori)

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