大谷翔平はなぜ8戦ノーアーチだった? 指揮官「疲労ではない」…41号の裏にあった予兆
9戦ぶり41号を放った試合前、ネビン監督が本塁打を“予言”
■エンゼルス 2ー1 アストロズ(日本時間14日・ヒューストン)
久々に“らしい”一撃が飛び出した。エンゼルス・大谷翔平投手は13日(日本時間14日)の敵地アストロズ戦で中越えへ41号ソロを放った。3日(同4日)の本拠地・マリナーズ戦以来、実に9戦ぶりのアーチ。周囲からは疲労について心配の声が上がっていたが、フィル・ネビン監督は前日12日(同13日)の凡打での打席に「本塁打はじきに来る――」。そんな予兆を感じていた。
周囲の不安を一掃した。2打席凡退に倒れて迎えた6回2死の第3打席。左腕ムシンスキーの高めスライダーを振り抜くと、打球はバックスクリーンへ高々と舞い上がった。8月に入って2本目。久々の“兜タイム”に敵地でも拍手が沸いた。
今季ここまで欠場2試合のみ。疲労がたまっているのは明らかだった。体の各部分でけいれんが起き、途中交代することも多かった。試合後、自打球を当て右脛にテーピングを巻いて球場を後にしたことがあった。そして、12日(同13日)、大谷自らローテーションを1度飛ばしたいとネビン監督に話があった。
そんな満身創痍の状態で8試合連続ノーアーチ。だが、この日の試合前、指揮官は「全く影響はない。彼は大丈夫だ。(疲労は)打撃に影響していない」と言い切った。ネビン監督の中では予兆があった。前日の第3打席では今季の自己最速となる打球速度118.3マイル(約190.4キロ)の右翼フェンス直撃二塁打。さらに、続く第4打席は左飛に倒れたが、ウォーニングゾーンまで運んだ。
「昨日打った打球は今年全体で見てもいい当たりだったし、あと少しだった。彼のスランプは長くは続かない。私には、彼の疲労の兆候がわかっている。飛距離はでていないけど、強い打球は打てているので、疲労(が原因)ではない。正しく打っているだけだ」
ネビン監督の予言通り、この日、大谷は9試合ぶりとなる豪快弾で長いトンネルを抜けた。テキサスでのレンジャーズ戦では登板をスキップし打席に“全集中”。ラストスパートへ、再び量産体制に入ってもおかしくない。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)