「優しい」令和の選手を指導者はどう導く? 部員は1学年50人超…強豪シニアの取り組み

武蔵府中シニアを率いる小川紀輝監督 (左)【写真:片倉尚文】
武蔵府中シニアを率いる小川紀輝監督 (左)【写真:片倉尚文】

NPB戦士を11人輩出…武蔵府中リトルシニアを今季から率いる小川紀輝監督

 中学硬式野球の日本一を決める「第17回全日本中学野球選手権大会 ジャイアンツカップ」に出場している「武蔵府中シニア」(東京)は11人のプロ野球選手を輩出している強豪チーム(リトル出身を含む)。この4月から指揮を執る小川紀輝監督は選手の特性を重視し、適材適所の起用に力を注いでいる。

 強豪シニアは、部員が1学年約50人の大所帯。31歳の新監督は組織を重視してチーム作りを進める。「レギュラーだから、メンバー外だからという扱いをせず同じようにノックをして練習でも同じ打席数を与えます。競争も大事ですが、一体感を持ってやっていきたい」と語る。

 専用グラウンドを保有しており、多くの部員に十分な練習量を提供できるのも強味だ。「できるだけ野球をやらせていく。提供できるメリットがウチにはあります」。

 武蔵府中シニアOBで大学時代からコーチを務めてきた小川監督。子どもたちの気質も変わってきたと感じている。「優しい子が増えていますよね。ガツガツ人を押しのけてでも、という子はいないです。レギュラーを決め過ぎずにやるのがいいんだろうと思います」と語る。

 そんな中で、選手起用では適材適所の采配を振る。17日の熊本中央ボーイズとの2回戦では17選手を起用。3選手を代打で使うなど攻めの采配で6回に1点ビハインドを追いつき、7回にサヨナラ勝ちを飾った。「ポジションも変えながら、チームの総力をあげて戦うチーム作りをしています」。と力を込める。

 選手の高校進学も見据えている。「自分の得意なところを磨いていってほしい。高校の関係者に、長所をすぐに言えるような選手を育てていきたいですね」。大所帯でも選手に1人1人に目を配り、個性を生かした起用で選手を育成している。

(片倉尚文 / Naofumi Katakura)

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