“色”に染めず特長を重視 日本一5度の指揮官が実践…“選手ファースト”のチーム作り

湘南クラブボーイズ・田代栄次監督【写真:チーム提供】
湘南クラブボーイズ・田代栄次監督【写真:チーム提供】

ボーイズ日本選手権3度、ジャイアンツ杯2度Vの湘南ボーイズ・田代栄次監督

 中学硬式野球の「湘南クラブボーイズ」(神奈川)は日本一5度を誇る全国屈指の強豪チーム。田代栄次監督は“教え過ぎない指導”を心掛け、選手に自分で考えさせることを重視している。チーム作りも、自分の“色”を出し過ぎずに、選手の特長を引き出すことに注力している。Full-Countでは、小・中学世代で日本一を成し遂げた12人の監督に取材。今回は田代監督の言葉から、選手の力を引き出すヒントを探った。

 1999年からチームを率いる田代監督はボーイズ日本選手権で3度、ジャイアンツカップで2度頂点に。最初の優勝は2007年のボーイズ日本選手権だった。当時は30歳の青年指揮官。「自分がキャプテンくらいのつもりで『俺について来い』という感じでやっていました。練習量も多かったですね」。この代の3年生には、入部した頃から「このメンバーで日本一になるぞ」と声を掛け、有言実行で頂点に立った。

 当時は自身が志向した守備重視の足を絡めた野球を前面に押し出した。「全員が1番打者のようなチーム。守備が良くて、1大会でほとんどエラーないまま勝つようなチームでした」と振り返る。

 ところがその翌年、新たな発見があった。守備に難があったものの全国大会で3位、ジャイアンツカップで準々決勝に進出。「最後はチームになりました。自分が勝手な理想を持って100点を取ろうとしましたが、子どもたちが伸びやかにプレーして力を発揮すれば結果はついてくるのかなと思うようになりました」。

心掛ける教え過ぎない指導「遠回りになっても考えさせます」

 以降は選手の特長に合わせた野球で躍進を続けている。日本選手権で2度目の優勝を果たした2021年は投手力が中心。連覇を果たした昨年のチームは打撃のチーム。「足も速くて。細かいミスは多かったですが、元気が良くて乗りが良かったです」。チームの特長を最大限に引き出して頂点に立った。

「かつては自分がやりたい野球をやらせていました。今は子どもたちに合わせてやっている感じです。その代のカラーに合わせてチームを作ろうと考えています」。チームの根幹であるアグレッシブな野球は不変なまま、臨機応変に組織作りを進める。

 選手との向き合い方も徐々に変わっている。最近は教え過ぎない指導を心掛ける。根底には、自分で考えて行動できる人間になってほしいという思いがある。「強制的にやらせるより自分たちで行動して、考えて動くことを大事にしています。間違っていてもそのままやらせて、ある程度遠回りになっても自分で考えさせます」。インターネットなどで簡単に答えが見つかる時代だからこそ、考えることを大事にしてほしいと願う。

“選手ファースト”でチームを作り上げる田代監督は、今月25日から5夜連続で行われる「日本一の指導者サミット」に参加予定。その考えはアマ野球指導者にとって参考になるはずだ。

5度の日本一…湘南クラブボーイズ・田代栄次監督も“参戦決定”!

 Full-Count(First-Pitch)と野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」では9月25日から5夜連続(午後8時から)でオンラインイベント「日本一の指導者サミット」を開催する。小・中学生の野球カテゴリーで全国優勝経験を持つ全12チームから、手腕に定評のある監督たちがYouTubeライブに登場。指導論や選手育成術、円滑なチーム運営のヒントを授ける。詳細は以下のページまで。

【日本一の指導者サミット・詳細】
https://first-pitch.jp/article/news/20230902/5374/

【参加はTURNING POINTの無料登録から】
https://id.creative2.co.jp/entry

(片倉尚文 / Naofumi Katakura)

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